研究課題/領域番号 |
21K03895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小泉 安郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 研究支援推進員 (20215156)
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研究分担者 |
大川 富雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20314362)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | プール沸騰 / 限界熱流束 / CHF / 濡れ進展速度 / 沸騰熱伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
プール沸騰でCHFに至るとき、伝熱面からの入熱によって蒸気泡が生成され、その底部に乾き域が形成される。この後、乾き域外縁の固気液三相界線が内向きに移動して、乾き域が消滅すれば、伝熱面温度は飽和温度近くに維持される。一方、乾き域が際限なく拡大すると、伝熱面の冷却が長期間途絶えて温度上昇し、CHFに至る。固気液三相界線が内向きに移動する速度(濡れ進展速度)が大きい伝熱面では、乾き域が成長しにくいため、CHFが向上する。本研究では、常温条件と核沸騰中の両方で、各種伝熱面の濡れ進展速度を計測し、別途計測するプール沸騰CHFとの関係を調べ、濡れ進展速度を主要変数とするCHF相関式を開発する。
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研究成果の概要 |
伝熱面の濡れ進展速度とプール沸騰CHFの関係解明を目的として、水を試験流体とするプール沸騰実験を実施した。銅薄膜を伝熱面とし、表面性状の影響を調べるため、表面研磨した面と酸化被膜形成面の二種類を準備した。実験の結果、濡れ進展速度は、研磨面で0.10m/s、酸化面で0.12m/sであり、酸化被膜の形成により濡れ進展速度は有意に変化することがわかった。これより、酸化面ではCHFが向上すると予想されたが、CHFの計測値は研磨面に対して806kW/m2、酸化面に対して791kW/m2であった。このため、濡れ進展速度とCHFをより大きく変化させた上で、両者の関係を検討することが今後重要と考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
プール沸騰の限界熱流束(CHF)は、高発熱電子機器の冷却やエネルギー関連プラントの安全確保で工業的にきわめて重要な技術である。近年、加熱壁の表面に微細加工を施したり被膜を形成したりすると、CHFが有意に変化することが報告されているが、CHFに変化を生じるメカニズムは十分に明らかにされていない。本研究では、CHF変化の直接的な原因となりうる濡れ進展速度の実験計測に成功するとともに、これが酸化被膜の形成により有意に変化することを示した。したがって、本研究の成果は、プール沸騰CHF向上効果のメカニズム解明、及び高CHF伝熱面開発の効率化に寄与するものと言える。
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