研究課題/領域番号 |
21K03951
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
中道 友 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (70586164)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 光コヒーレンストモグラフィー(OCT) / DROCV / 3次元計測 / 速度場 / 振動特性 / 生体診断 / 非破壊検査 / ドップラーOCT / OCT Angiography / 流れ場 |
研究開始時の研究の概要 |
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は光で対象の断層構造をマイクロ可視化する手法であり,生体組織診断や工業製品の非破壊検査に利用が進んでいる.これらの計測において対象の速度場や振動特性をマイクロ計測することは,両者の診断・検査精度の向上だけでなく生体組織や工業製品に生じる疾患・欠陥の発生メカニズムを解明する鍵にもなり得る.本研究では,OCTを用い対象の速度場および振動特性を3次元マイクロ計測する手法(DROCV)の開発を目的とする.① DROCVを実施可能なOCTシステムの構築を行い,② 流体の流れ場の3次元計測,③ 工業製品の振動特性の3次元計測を行うことで提案手法の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography;OCT)は近赤外広帯域光の低コヒーレンス光干渉を利用して対象の断層像をマイクロスケールで可視化する手法であり,生体組織の病変診断や工業製品の非破壊検査に利用が進んでいる.これらの計測において,対象の速度場や振動特性を計測することは,両者の診断・検査精度の向上だけでなく,病変や欠陥の発生メカニズムを解明する鍵にもなり得る.そこで本研究では,OCTを用い対象の速度場や振動特性を3次元マイクロ計測するDirection-Resolved Optical Coherence Velocimetry(DROCV)の開発を目的とし研究を行ってきた. 2021年度の研究において,機械学習を利用したDROCVアルゴリズムを作成し,血液模擬溶液を用いた検証実験から手法の妥当性を示した.2022年度は,生体組織でDROCVを行うためのヒト血液試料を用いた教師データ取得実験と,生体組織に対するDROCVアルゴリズムの改良を行った.この結果,生体模擬試料およびヒト皮膚血管における血液の流れ場(血流速,角度)をDROCVで定量的に計測可能であることを示した.またこれと並行して,工業製品に対するDROCVの妥当性を検証するため,ステッピングモータにより回転するゴムローラを計測対象としたパイロット実験も実施した.この結果,DROCVによりゴムローラの回転速度および回転方向が検出可能であることを示すとともに,入力パルス間隔に起因する微小な回転速度変動も検出できることが分かった. 以上の研究過程において得られた結果をまとめ,査読付国際論文誌2件,国際学会2件,国内学会2件の成果発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,研究計画にて2022年度までに3つのマイルストーン(OCT計測システムの作成,DROCV計測システムの作成,模擬生体組織の流れ場計測に対する成果発表)を設けたが,これらは既に達成しており,おおむね順調に進展していると言える.ただし, DROCVアルゴリズムでは機械学習を利用しているが,これのブラッシュアップを行うことによってより高い精度の流れ場計測を実現できる可能性があるため,引き続きDROCVアルゴリズムの改良は続ける.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究期間内における目標は,DROCVの生体適用性と工業製品への適用性を検証することによってDROCVを確立することであり,これまでおおむね順調に研究は進捗してきた.前者については,これまでのデータをまとめ年度内の論文投稿を目指すとともに,ヒト皮膚を対象としたDROCVの応用研究についての成果発表も目指す.後者については,パイロット実験の結果からDROCVがウェブ(柔軟媒体)ハンドリングにおけるマイクロスリップの直接計測に利用可能であることが示唆されたため,これを対象とした追加実験を実施し年度内の成果発表を目指す.
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