研究課題/領域番号 |
21K03998
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
卜 穎剛 信州大学, 工学部, 特任准教授 (70647940)
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研究分担者 |
佐藤 光秀 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (80793968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ワイヤレス給電コイル / 磁性コンポジット材料 / 磁性テープアルミリッツ線コイル / 銅リッツ線コイル / ワイヤレス給電 / 走行中ワイヤレス給電 / アルミニウムリッツ線コイル / 軽量低損失コイル |
研究開始時の研究の概要 |
走行中ワイヤレス給電システムは、地面の送電コイルを高周波電源で駆動することで電磁界を発生し、車両側に搭載した受電コイルが電磁界を受けて電力を伝送する。送電コイルの導線内に発生する交流銅損を低減するために、銅リッツ線が使用されているが、製造コストが高く、コイルが重くなるため、実用化の障壁となっている。そこで、本研究は軽量・安価・高周波駆動時の低損失を並立可能とする『磁性テープ巻アルミニウムリッツ線コイル』を提案し,検証実験を行う。本研究の成果により、走行中ワイヤレス給電を実現するための基盤技術が開拓され,上記課題の解決を期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、電気自動車のワイヤレス給電のアルミニウムリッツ線コイルを利用したワイヤレス給電の伝送効率低下に対して、磁性テープの装荷により効率改善を目的としている。今年度は,昨年度で開発した鉄系磁性コンポジット材料をもちいた磁性テープを銅リッツ線の表面に巻き付けることにより,効率の改善効果を確認した。 試作用の銅リッツ線コイルの表面に0.5㎜の厚さで磁性コンポジット材料を塗布して送電コイルと受電コイルのセットを製作した。磁性コンポジット材料はシリコン樹脂と平均粒径40μmのセンダスト球粉を体積比1:1混合で製作した。充電コイルは電磁ノイズ低減のため,バックヨーク及びアルミ板を取り付けている。磁性コンポジット材料の塗布により,受電コイルのQ値は未塗布の場合の281に対して,塗布したコイルの場合は288となり,2.5%を向上した。送電コイルのQ値は,それぞれ255と278であり,塗布した送電コイルのQ値は9%を向上した。 また,上記コイルを用いて,ワイヤレス電力伝送実験を行った。走行中給電を考慮して位置ずれ時におけるDC-DC間の伝送効率を測定した。測定結果は,位置ずれが0㎜の場合において,磁性塗布したコイルの伝送効率は未塗布コイルと比べて1.8%を向上した。さらに,位置ずれが進行方向に100㎜における伝送効率の低下は,未塗布の3.5%の効率低下から2.8%までに抑制された。 これにより,磁性コンポジット材料の効率向上効果が実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進歩状況について,おおむね順調に進んでいると考えている。 今年度は,ワイヤレス給電コイルの損失を低減するための磁性材料を平均粒径40μmのセンダスト球粉を体積比1:1混合で製作したものをコイルに製作し,特性評価を行った。コイル単体では,受電コイルのQ値が2.5%が,送電コイルが9%の向上をした。電力伝送実験では,位置ずれ無しの場合は約1.8%を向上した。位置ずれが進行方向の100㎜ずれた場合は,効率低下が3.5%から2.8%まで改善された。この結果により,提案した磁性コンポジット材料がコイルの損失低減および効率低下の抑制が有効であることが実証された。 また,アモルファス鉄系の磁性コンポジット材料で製作した磁性テープの透磁率は12となり,目標の10を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,アモルファス鉄系の磁性コンポジット材料で製作した磁性テープをアルミリッツ線コイルに適用したコイルを製作し,その特性を評価する。また,その製作した磁性アルミリッツ線コイルセットを試験用の小型電動車両に搭載して,走行中電力伝送実験と評価を行う予定である。
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