研究課題/領域番号 |
21K04016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
神谷 淳 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00224668)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / 遮蔽電流密度 / 有限要素法 / 高速多重極法 / H-行列法 / Krylov空間法 / 前処理技術 / 高性能計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,高温超伝導体中の遮蔽電流密度を評価するための高速・高精度解析技術を開発し,同技術を用いて超伝導応用機器の設計支援ツールを製作する.本研究で開発される技術は数理モデルと数値解析法の2種類に大きく分かれる.
まず,遮蔽電流密度解析には,超伝導状態を記述するための数理モデルが必要となる.本研究の電磁界解析では,数100Hz以下の周波数領域で有効な数理モデルを提案し,その妥当性を数値的に実証する.
次に,遮蔽電流密度方程式を高速に解く数値解析技術を開発する.この技術が実現すれば,複雑形状をした超伝導応用機器中の遮蔽電流密度を高速・高精度に評価することが可能となる.
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研究実績の概要 |
電流ベクトル・ポテンシャル法で定式化された遮蔽電流密度方程式の初期値・境界値問題を時間に関して離散化すると,各時間ステップにおいて非線形境界値問題が得られる.しかしながら,高温超伝導薄膜がクラックを含む場合,非線形境界値問題にNewton法を適用すると,膨大な計算時間を浪費する.これは,Newton法の各反復で解くべき非対称鞍点問題に起因している. よく知られているように,鞍点問題は数値的に解くのが困難である.同問題を解く目的で零空間法や変数低減法(Variable Reduction Method, VRM)が開発されたが,両法は計算コストの高いQR分解を必要とする.この問題を解決する目的で,筆者等はQR分解を用いないで,対称鞍点問題のソルバーとして改良型変数低減法(improved VariableReduction Method, iVRM) [1] を定式化した.さらに,iVRM の性能を数値的に調べた結果,収束特性と計算コストの両面からiVRM はICCG 法よりも優れていることが判明した. 本来,iVRM は対称鞍点問題のソルバーとして開発されたものであるから,そのままでは遮蔽電流密度解析に現れる非対称鞍点問題には適用できない.本年度は,非対称鞍点問題に適用できるようにiVRM の基本概念を拡張することによって,非対称鞍点問題の高性能ソルバーAiVRMとAiVRM2を開発することを成功した.
[1]A. Kamitani et al.: “Linear-System Solver for EFG-Type Saddle-Point Problem without Using QR Decomposition,” Plasma Fusion Res., Vol. 17 (2022) Art. No. 2403014.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,高温超伝導体を流れる遮蔽電流密度の時間発展を評価するための高速・高精度解析技術を考案し,さらに,同技術を用いて超伝導応用機器の設計支援ツールを開発することである.特に,本研究では高速数値計算技術を遮蔽電流密度解析に応用することによって,数百万個の節点をもつ超伝導応用機器中の遮蔽電流密度解析を実現することを目指す. 本研究を推進する方法として,3つの段階を設定する.先ず,第1段階の「方法論開発フェーズ」では,高温超伝導体の電磁特性データベースを構築し,データに基づいた数理モデルを提案する.第2段階の「高性能化フェーズ」では,高速数値計算技術を実装することによって,3次元遮蔽電流密度解析コードを開発する.最終段階の「工学的実証フェーズ」では,同コードを用いて超伝導応用機器中の遮蔽電流密度を定量的に評価する. 本年度は,第2段階の「高性能化フェーズ」を達成する目的でAiVRMとAiVRM2を開発し,その性能を実証した.これは,「高性能化フェーズ」を殆ど完了したことを意味している.それ故,現在までの研究状況はおおむね順調に進展していると言っても過言ではない.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,「方法論開発フェーズ」,「高性能化フェーズ」,「工学的実証フェーズ」の3段階を当初設定していた.これまでに「方法論開発フェーズ」を完了し,「高性能化フェーズ」として改良型変数低減法(iVRM)とその非対称版であるAiVRMとAiVRM2を提唱し,その性能を数値的に実証した. 今後の研究では,AiVRM/AiVRM2を3次元遮蔽電流密度解析コードに実装した後,PCクラスタやGPGPUによる並列分散処理コードを開発する.さらに,同コードを用いて,「工学的実証フェーズ」の段階に移行する.具体的には,超伝導磁気浮上システムにおける動的電磁力,超伝導送電線の交流損失,磁気遮蔽装置(例えば,炭素線治療用超伝導回転ガントリー中のパッシブ超伝導コイル)の遮蔽性能の何れかを定量的に評価する.また,超高速ペレット射出装置(超伝導線形加速システム)の設計を支援するための最適化シミュレーション・コードの開発も行う.
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