研究課題/領域番号 |
21K04031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (40597689)
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研究分担者 |
藤田 洋司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40720222)
漆畑 広明 金沢工業大学, 電気・光・エネルギー応用研究センター, 教授 (40723367)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | リチウムイオン電池 / モデル化 / 充放電シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
近年,自動車,産業機器,民生機器,電力系統,再生エネルギー,建物等の種々の分野においてリチウムイオン電池(LIB)が使用されるようになってきた。したがって,各種システムでLIBを効果的かつ安全に使いこなすためには,LIB制御理論を早急に確立する必要がある。そこで本研究では,“LIBの実構造に即した”等価回路を電気工学ツールである“回路シミュレータ”で計算し,さらに,得られる電流や電圧の値を使用し反応速度理論計算を行い,この数値解を利用して等価回路を時々刻々改変しながらLIB全体の応答を計算する“新概念に基づくLIBモデル”を開発する。本研究を鋭意推進し,LIBをダイナミックに制御するための基盤形成を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では,高性能2次電池であるリチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery: LIB)を効率的かつ安全に使用するため,“電池と負荷(モータ等)を繋ぐインターフェース”としての“LIB制御理論”の高度化を目指している。LIB制御のためには実際の電池の特性を精度よく再現できる電池モデルが不可欠である考え,電気回路理論と電気化学反応速度論を融合した新概念に基づくLIBモデルを開発に取り組んでいる。 本年度は,昨年度開発した集中定数系のシミュレーションモデルを発展させるためのベースデータを得るため,測定技術の高度に主に取り組んだ。すなわち,次年度に研究予定である反応分布が解析可能な分布定数系のシミュレーションモデルの構築のためには,正極の応答と負極の応答が混在した2極セルでの測定値は複雑すぎて使いにくいため,正極の応答と負極の応答を分離して測定する必要がある。このため,本年度は電極の動作特性を分離して測定することができる,3極セルによる解析技術の高度化を行った。 まず,3極セルの構造を新たに設計することにより,従来は電極静特性の解析に特化していた3極セルを,大きな電流を流す電極動特性の解析に適用できるようにした。つぎに,この3極セルをLIBの正極,負極の単独の特性解析に適用し,充放電曲線やインピーダンス等の多くのデータを測定した。さらに,この3極セルでの測定精度を検証するため,別途対称セルによるインピーダンス解析およびシミュレーションを進め,データの信頼性向上に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3極セルにより,大きな電流(~10Cレート)を流す放電特性が安定して測定できる状態になっている。また,本測定技術を応用し,放電曲線の電流依存性,電解液中の塩濃度依存性等のデータを積み上げることができ,反応分布を有する多孔質電極の高負荷時の実際の挙動を把握することができた。また,これらのデータは,次年度実施するシミュレーションの比較データとして,モデル精度の検証に応用される。以上の点から,本研究は概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでの研究成果をベースに,電池内反応分布の加味したLIBモデルを開発へと進む。アルゴリズムの基本概念は踏襲するが,回路の基本骨格を均一反応系の集中定数型から反応分布が表現可能な集中定数系へと発展させる。これにより,LIBの車載応用等を想定した電池の高負荷特性が解析可能なシミュレーションモデルの構築を目指す。
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