研究課題/領域番号 |
21K04086
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
井邊 真俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (00760191)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | コヒーレンス計測 / 温度計測 / 熱放射 / 空間コヒーレンス / 干渉計測 / 波面制御 / 放射温度計測 / 背景放射 |
研究開始時の研究の概要 |
サーモグラフィは,測定対象自身から温度に応じて放出される電磁波(熱放射)を測定し,温度を決定する.しかし,無関係な迷光である背景放射もまとめて捉えてしまう.これらの区別は困難であり,計測の誤差要因になる.そこで,熱放射の空間コヒーレンスの計測とフィルタリング処理による分離技術の研究開発を実施する.空間コヒーレンスの変調をおこない,所望の熱放射信号のみを抽出する.元の測定対象の熱放射へと復号処理をおこない,温度計測を実現する.これを基に複数の透過物体の個別温度計測技術の研究開発を実施する.透明フィルムの温度計測など,これまで背景放射が原因で計測が困難であった分野での高精度温度計測の実現を目指す.
|
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,汎用的な光学素子のみを用いた空間コヒーレンス計測法の性能を調べた.まず,その指標として従来の光計測技術と同様に伝達関数の導出を試みた.それから遮断周波数がわかれば,この計測手法の空間分解能を求めることができるからである.しかし,本手法の数式モデルでは,従来の光学技術の瞳関数に相当するものが得られなかった.そこで,光源の時間コヒーレンスに着目した.この計測手法ではミラーのティルトにより干渉計内の2光波において路長差が生じる.これまでは,この影響を小さいものとして無視していた.しかし,厳密には,光路長差が生じれば,干渉縞の強度にも影響する.この影響を考慮した結果,空間周波数と空間座標の両方に依存した関数を導出できた.この性質は,これまでの実験結果とも整合していることから,この計測手法の性能指標を新たに導出できたといえる.なお,光路長差を無視できるような光源,すなわち,高時間コヒーレンス光の場合は,空間座標には依存しないこともわかった.この場合は,空間周波数だけに依存する伝達関数として機能すると考えられる.次に,この計測手法における背景放射分離および透過物体への適用可能性を検討した.昨年度より,光源およびその回折光の統計的性質を活用することにより,高空間コヒーレンス光にも,この計測手法を適用できることがわかっている.これまでの低空間コヒーレンス光の場合の統計処理と組み合わせ,背景放射の分離可能性について検討した.同時に,撮影物体自身を移動することができれば,断層画像のように特定の位置における光波を取り出せる可能性もあり,その場合,透過物体への適用も可能である.その実現のための計測系の構築および実験的な検討もおこなった.
|