研究課題/領域番号 |
21K04215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
佐川 孝広 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90621045)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 表面含浸材 / けい酸塩系 / 養生条件 / セメント種類 / 水和反応 / スケーリング抵抗性 / シラン系 / 塗布効果 / コンクリート / 塗布系材料 / 硬化体特性 |
研究開始時の研究の概要 |
コンクリートの表層品質の確保・向上目的として,近年では,各種の塗布系材料(表面含浸剤,収縮低減剤,被膜養生剤,等)が上市されている。しかし,これらの作用メカニズムと硬化体特性へ及ぼす影響が包括的に理解されている状況とは言い難い。 本研究では,代表的な塗布系材料を複数選定し,セメント水和反応へ及ぼす影響を含めて包括的に評価することで,塗布系材料の作用メカニズムと硬化体特性との関係を検証する。
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研究実績の概要 |
今年度の研究では,けい酸塩系表面含浸材の塗布後の養生条件の影響について着目し,含浸材の各種の材料分析や生成物の分析等も併せて行った。 実験は,普通セメント(N),高炉セメントB種(BB)を用い,含浸材は,市販の固化型のけい酸リチウム系(Li),反応型のけい酸ナトリウム系(Na),けい酸リチウムとナトリウムを混合したけい酸塩混合系(K)の3種類を選定した。材料分析の実験は,各含浸材を乾燥固化し粉末X線回折(XRD),蛍光X線分析(XRF)を行った。反応性の評価は,等温熱量計による積算発熱量の測定,および含浸材と水酸化カルシウム(CH)のペースト硬化体のXRD測定を行った。積算発熱量の測定は,N,BBの水セメント比50%のセメントペーストにて行い,含浸材はセメント質量の2%を混練水に内割置換した。XRDの測定は,各含浸材とCHを反応させた硬化体を粉砕し行った。塗布効果の評価は,凍結融解試験により行った。JISの配合のモルタルを15cm3のスチロール棒瓶に成型した。含浸材塗布後に水中養生なし,3日,7日水中養生の3条件を設定した。供試体は材齢28日まで養生後,3%のNaCl水溶液に2日浸漬させた後に表乾質量を測定し,凍結融解試験を行った。凍結融解作用は凍結温度-20℃で16時間,融解温度20℃で8時間を1サイクルとし,試験開始時の表乾質量を100%とした質量残存率として評価した。 その結果(1)表面含浸材の種類により化学組成は異なるが,CHと反応した硬化体にはすべてC-S-Hの生成が認められた。(2)含浸材無塗布では,BBよりNのスケーリング抵抗性は高かった。水中養生なしの供試体に顕著な劣化は認められず,脱型後に水中養生期間を設定することで質量残存率は低下した。(3)N,BBともに含浸材の塗布によりスケーリングは抑制され,セメント種類や含浸材種類の影響は小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
けい酸塩系表面含浸材の塗布効果に及ぼす塗布後の養生条件の影響について主に検討を行った。予想とは異なる実験結果が得られ,塗布後の湿潤養生による含浸材の反応促進と,湿潤養生による試験体の含水状態が高くなることによる凍害劣化の促進との双方の影響がバランスし,最終的なスケーリング抵抗性が変化するものと推察している。また,セメント種類の影響についても,想定より影響は大きくなく,NとBBで同程度の結果が得られた。事前の予想とはやや異なる実験結果が得られているが,実験そのものは概ね順調に進捗している。さらに,等温熱量計にて,けい酸塩系表面含浸材を混和したセメントペーストの水和発熱速度の測定を行っており,含浸材が反応開始するタイミングを把握できる等,新たな成果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
セメント種類の影響をより精緻に確認することを目的として,高炉セメントA種,C種相当のスラグ置換率においても含浸材の塗布効果,スケーリング抵抗性の評価を行う。また,けい酸塩系とシラン系を併用した系について検討する。
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