研究課題/領域番号 |
21K04238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
中村 一史 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (70264596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 補修・補強 / FRP部材 / 鋼構造物 / 接着接合 / 耐久性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,軽量で,耐久性にも優れるFRPを用いた,既設鋼構造物の補修・補強方法を提案するものである.炭素繊維,ガラス繊維からなる未硬化の強化材を施工現場に持ち込み,VaRTM(真空含浸工法)と呼ばれる成形技術で,強化材に樹脂を含浸・接着することで,FRP部材の高度利用による既設鋼構造物の補修・補強技術の開発を目的としている.本研究では,(1)鋼部材との接着接合部の強度,耐久性,(2)補修・補強に必要なFRP部材の積層構成・断面剛性を実験的・解析的に検討し,接着接合,FRP部材の設計法を提案する.次に,(3)補修・補強を必要とする,鋼部材の部分・縮小模型を用いて,提案する工法の効果を検証する.
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研究実績の概要 |
2022年度は,データの蓄積として前年度から取り組んできた,(1)鋼部材との接着接合部の強度,耐久性に関する検討を継続して行った.接着接合部の強度については,2種類のエポキシ樹脂接着剤における,せん断応力と垂直応力の割合に応じた破壊包絡線を提示した. クリープ試験では,持続荷重,温度をパラメータとして検討を継続した.長期のクリープ試験を継続中であるが,クリープコンプライアンスで評価することで,既往の研究におけるマスターカーブに近似する結果を得ている. 疲労試験では,当て板接着した板曲げによるはく離寿命の検討を継続して行った.その結果,2種類の接着剤に対して,静的はく離に対する強度比とはく離破壊の繰返し回数の関係の評価式を提示するとともに,既往の引張疲労試験との比較から,作用,接着剤の種類によらず統一的な評価の可能性を示した.さらに,面内ガセット溶接継手から発生する疲労き裂のCFRP接着による補修における接着接合部のはく離の影響を検討した. さらに,(2)補修・補強に必要なFRP部材の積層構成・断面剛性の検討を行った.FRP部材は,補修・補強に効率的な一方向材を基本とし,軸力を受ける部材,曲げモーメント,せん断力を受ける部材に対して,それぞれ支配的な方向に配向した繊維を適用して検討を行った.軸力を受ける部材については,部材長の異なる一方向材のCFRP部材の圧縮実験を行って,材料破壊,座屈破壊の領域を評価した.曲げモーメント,せん断力を受ける鋼部材に対しては,円筒形鋼製橋脚,曲げモーメントを受ける鋼桁を対象に解析的な検討を行って,過去に行われた実験結果を評価できる解析モデルの構築を行った.なお,はく離のモデル化とそれを考慮した検討も実施したが,解析モデルの構築と妥当性の検証を優先したため,積層構成の最適化とともに次年度以降も継続して実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 当初の研究実施計画通り,すべての研究項目に着手したが,前年度からの研究を継続する必要があったこと,新たに着手した研究では,既往の研究結果を評価するための解析モデルの構築とその妥当性の検証を中心に行ったため,一部で予定よりも遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究で,接着接合部の強度,耐久性に関する基礎データが得られたが,データの蓄積,耐久性の改善のため,一部で検討を継続する.また,FRP部材の高度利用に関して,構築した検証用の解析モデルを用いて,鋼部材の補修・補強に必要なFRP部材の積層構成・断面剛性の検討を進めるとともに,鋼構造物の補修・補強設計に関する基礎資料を取りまとめる予定である.
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