研究課題/領域番号 |
21K04255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山中 稔 香川大学, 創造工学部, 教授 (50264205)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石垣 / 物理探査 / 安定性 / 地盤調査 |
研究開始時の研究の概要 |
老朽化の進展や自然災害により大変形した城郭石垣が今後に変形が進行するかどうかかは,現状の石垣の剛性の高さ,すなわち石垣石同士のかみ合わせの強さや,石垣石背面の栗石層の密実さが大きく影響していると考えられる。すなわち,石垣内部の緩み域が検出できれば,大変形した城郭石垣の現状の力学的安定性評価を行うことが可能となる。 本研究は,貴重な文化財である石垣を傷つけず比較的容易に実施できる各種の物理探査手法を用いた,大変形した城郭石垣の力学的安定性評価手法を構築するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,地震で被災した熊本城石垣と,豪雨で崩壊した丸亀城石垣を主な調査対象として,各種の物理探査手法を適用して,さらには既存のボーリングデータを活用した城郭三次元地盤図を作成し,新たな城郭石垣の力学的安定性評価手法を構築しようとするものである。本研究で得られた主な成果を要約する。 ・熊本城および丸亀城の石垣の変状調査として,携帯型レーザー距離計を用いて石垣断面形状を測量した。本研究では,それらの測量データとともに,新たに計測した石垣断面形状を用いて石垣面の孕みの程度を把握し,測量データから見た変形域の抽出を行なった。 ・熊本城長塀での連続した250m区間での伝播速度を計測した結果,伝播速度の平均値は,高さ1mで262.7 m/s,高さ2mで267.8 m/sと概ね等しいが,同一計測地点における高さによる伝播速度の違いは,石垣の変形程度によるものと考えられた。また,丸亀城の二の丸および三の丸における石垣の面ごとに,地盤面から高さ1mおよび2mの位置において水平距離5m間の伝播速度試験を実施した。試験の結果,二の丸において,高さ1mよりも2mの伝播速度が全体的に高いが,これは石垣の変形形状による違いであると考えられた。 ・熊本城跡での常時微動計測による地層区分を導入した三次元地盤図を作成するとともに,石垣被災に及ぼす地盤の影響について明らかにした。 ・丸亀城天守台石垣の石垣断面形状測量や地中レーダ探査の結果をもとに,累積示力線法や円弧すべり等による地震時の安定性診断を実施し,地震時の安定性を満足していることが明らかとなった。 ・仙台城や白河小峰城での石垣被災現場において常時微動測定を実施し,石垣被災に盛土厚さが大きく影響していることを明らかにした。さらに,金沢城跡での常時微動計測による地層区分を導入した三次元地盤図を作成し,石垣変状に及ぼす地形や表層地盤の影響について明らかにした。
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