研究課題/領域番号 |
21K04271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五十里 洋行 京都大学, 工学研究科, 助教 (80554196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 不規則波 / 人工リーフ / 被覆ブロック / 粒子法 / 数値シミュレーション / ネスティング / 連鎖的崩壊 / 砕波 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸保全施設の一種である人工リーフでは,大規模な砕波の作用下において多数の被覆ブロックの飛散や捨石マウンドの変形といった被害が発生し得る.既往の実験研究において,様々な入射波条件の下で被害率の推定が試みられているが,被害率が上下する条件・原因については明らかにされていない.そこで本研究では,粒子法による数値シミュレーションを実施し,ブロック・捨石の周囲流体の圧力や流速等の詳細な情報から被害の原因について計算力学的に追究する.また,これまで粒子法では波高減衰の問題から不規則波について十分な再現例がなかったが,本研究ではこの問題を解決した新たな手法により不規則波伝播計算を試みる.
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研究実績の概要 |
海岸保全施設の一種である人工リーフは常に水没しているため景観を損ねない利点を有しているが,大規模な砕波の作用下においては多数の被覆ブロックの飛散や捨石マウンドの変形といった被害が発生する.そのようなことから既往の実験研究において,様々な入射波条件の下で被害率の推定が試みられているが,被害率の高低の要因については明らかにされていない.そこで本研究では,高精度粒子法による数値シミュレーションを実施し,ブロック・捨石の周囲流体の圧力や流速等の詳細な情報から被害の原因について計算力学的に追究する. 今年度は,昨年度構築したエネルギー保存性の高い粒子法を用いて,鉛直二次元場での人工リーフ上被覆ブロックの不規則波による飛散過程の数値シミュレーションを実施した.比較対象とした既往の水理実験と同様の大きさの人工リーフモデルを作成して設置水深も同じくし,同水理実験において最も多くの被覆ブロックが飛散した不規則波の波浪条件と同様の諸元の不規則波を人工リーフモデルに作用させた. 本数値シミュレーションにより,被覆ブロックの飛散が再現された.また,飛散に至るまでの時間においては,少し浮上した後,元の位置に戻るというブロックの動きが何度か確認された.これをブロックに作用した流体力の時系列グラフと照らし合わせると,浮上した場合には必ず大きな流体力が作用しているが,大きな流体力が作用したからといって浮上するとは限らないパターンもあることがわかった.来襲波高が大きい場合に流体力が増大するが,不規則波であるので砕波位置が一定ではなく,ブロックとジェットの着水地点の相対位置関係が一波ごとに異なる.ブロックの浮上・飛散挙動にはこのジェットの着水地点が大きく関わっていることが計算結果より明らかにされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施したシミュレーションにより,人工リーフ上被覆ブロックの挙動と砕波ジェット位置の密接な関係が明らかにされた.ただし,鉛直二次元計算であったために横断方向のマウンドの不陸が表現できないことから,ブロックが実際よりも運動しづらいことが確認された.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,ブロックの運動自由度を上げて連鎖的崩壊過程を再現するために三次元計算を実施したいと考えている.カギとなるのは計算コストであり,いかに効率よくモデルを構築するかが重要であると考えている.
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