研究課題/領域番号 |
21K04449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
天畠 秀秋 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (20441222)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 終末期古墳 / 3次元GIS / 景観シミュレーション / SfM / UAV / 立地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、UAV(ドローン)写真測量により作成した古墳の微地形の高精細な3次元モデルと広域の3次元地形モデルを3次元GIS上で統合することにより、畿内における終末期古墳の立地に関わる景観を可視化する景観シミュレーション画像を作成する。景観シミュレーション画像を用いた古墳の軸線・墳丘の形態と自然景観や古代寺院・官衙遺跡との眺望関係の景観分析を通して、各古墳の景観の特徴を明らかにした上で、それらを類型化することにより、終末期古墳の立地原則を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、UAV写真測量(ドローンを用いたSfM多視点ステレオ写真測量)により作成した古墳とその周辺の微地形の高精細な3次元モデルと広域の3次元地形モデルを3次元GIS上で統合することにより、畿内における終末期古墳の立地に関わる景観を可視化する景観シミュレーション画像を作成する。景観シミュレーション画像を用いた古墳の軸線・墳丘の形態と自然景観や古代寺院・官衙遺跡との眺望関係の景観分析を通して、各古墳の景観の特徴を明らかにした上で、それらを類型化することにより、終末期古墳の立地原則を解明することを目的とする。 当年度は、畿内の終末期古墳と古代寺院・官衙遺跡の基礎情報の把握のための文献調査(3-1)、山城・大和・摂津の終末期古墳を対象に微地形のUAV写真測量のための現地調査(3-2)、3次元GISによる終末期古墳の景観の可視化(3-3)を行った。 3-1.文献調査: ①20基の基礎情報(地形図、推定築造年代、古墳の形態、石室・石槨の開口方位等)の把握。②32の古代寺院・官衙遺跡の基礎情報(位置、推定築造年代、伽藍配置・方位等)の把握。 3-2.現地調査: UAV飛行の許可が得られた11基のUAV写真測量を実施。UAV飛行なしでの調査許可が得られた2基は、延長ポールを用いてデジタルカメラで撮影した写真により写真測量を実施。 3-3.3次元GISによる景観の可視化:①13基の古墳周辺の微地形および石室・石槨の高精細な3次元モデルの作成が完了。3次元モデルから作成したcm精度の高精細なDSM・オルソ画像と、国土地理院配布の5m・10m DEMにより作成した広域の3次元地形モデルを3次元GISで統合。②上記データを用いて、13基について石室・石槨や墳丘の形態、開口方位と古墳から見た自然景観の関係を示す景観シミュレーション画像を作成。今後、各古墳から見た景観の特徴の分析を進める予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3-1.文献調査:終末期古墳および古代寺院・官衙遺跡の基礎情報の把握のための文献調査は概ね予定通りに進行しており、39基の古墳、58の古代寺院・官衙遺跡について完了。 3-2.現地調査:古墳の微地形の高精細な3次元モデル作成のためのUAV写真測量は、概ね予定通りに進行しており26基について完了。UAV飛行なしでの調査許可が得られた2基については、延長ポールを用いてデジタルカメラで撮影した写真により写真測量を実施した。計画当初に調査対象の候補としていた古墳のうち、調整を試みたものの調査許可が得られなかったものについては、調査対象から除外することにした。 3-3. 3次元GISによる景観の可視化: ①UAVまたは延長ポールを用いたデジタルカメラによる写真測量により計28基の古墳とその周辺の微地形および石室・石槨の高精細な3次元モデルの作成が完了。3次元モデルから得られたオルソ画像をGNSS測量による高精細な位置情報によってジオリファレンスすることにより、石室・石槨の正確な開口方位等の測定が可能になった。②3次元GISを用いて、写真測量による3次元モデルから作成した高精細なDSMとオルソ画像を広域の3次元地形モデルに重ねて表示することにより、古墳の石室・石槨や墳丘の形態、開口方位と自然景観の関係を示す景観シミュレーション画像の作成が完了。③古代寺院・官衙遺跡から古墳を見た景観シミュレーション画像の作成については、視点場の設定方法等を現在検討中である。④今後、古墳を見た景観シミュレーション画像の作成も進め、各古墳の立地の特徴を景観的な視点から分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の前半は、UAVまたは延長ポールを用いたデジタルカメラによる写真測量を実施済みの28基を対象として3次元GISによる終末期古墳の景観の可視化(3-3)を行い、各古墳の立地に関わる景観の特徴を明らかにする。最新の研究動向を把握・反映するため、終末期古墳および古代寺院・官衙遺跡の基礎情報の把握のための文献調査(3-1)、UAV写真測量と古代寺院・官衙遺跡の現況把握のための現地調査 (3-2)を補足的に行う。また、過年度に調整を試みたもののUAV飛行の許可が得られなかった終末期古墳のうち、令和5年度に調査許可が得られた場合は、それらを対象に上記(3-2)、(3-3)を行う。終末期古墳の景観の可視化(3-3)のうち、古代寺院・官衙遺跡から古墳を見た景観シミュレーション画像の作成については、視点場等の設定方法の検討を経て進める予定である。古墳周辺の地形が大規模に造成されているものは、造成前の地形図に基づき造成前の地形を復元した3次元地形モデルも作成し、3次元GISで統合することを計画している。 令和5年度の後半は、畿内における終末期古墳の立地に関わる景観の類型化 (3-4)を、軸線の方位(石室・石槨の開口方位)と近景・中景・遠景の自然景観や古代寺院・官衙遺跡との眺望関係に着目して行い、過年度の研究成果とあわせて分析・考察することで終末期古墳の立地原則を解明する。研究成果は、学会大会(日本建築学会)や学術論文(日本建築学会)等で社会に公開する。
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