研究課題/領域番号 |
21K04636
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 名古屋大学 (2023) 東京大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
矢島 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10597800)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 超イオン伝導体 / 単結晶 / 結晶構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
超イオン伝導体では古典的な単一イオンのホッピングによる伝導ではなく、キャリアイオン同士の相関に基づく協奏的な伝導がメカニズムとして考えられている。高いイオン伝導率を実現するためにはイオン相関を適切な大きさに制御することが必要であることが近年分かってきたが、その制御方法は自明ではない。本研究では、超イオン伝導体の単結晶を育成し、組成や結晶構造がイオン相関に対して与える影響を調べ、イオン相関の最適な制御方法を探るとともに、超イオン伝導体のイオニクスに対する包括的な理解を目指す。
|
研究実績の概要 |
超イオン伝導体の高速イオン伝導は、古典的な単一イオンホッピングではなく、キャリアイオン同士の相関による協奏的な伝導によりもたらされるとされてきた。一方で、我々のリチウム超イオン伝導体Li10GeP2S12 (LGPS)の単結晶を用いた研究からは、イオン相関によってイオン伝導が阻害されることが見いだされた。これは、キャリアイオン同士の相関が必ずしもイオン伝導によい影響を与えるとは限らず、適切な大きさのイオン相関を持たせる必要があることを意味する。本研究では最適なイオン相関の制御方法を確立することを目的とし、イオン相関がイオン伝導に与える影響を化学組成や結晶構造の観点から調べた。 本年度は超イオン伝導体Li1+xAlxTi2-x(PO4)3 (LATP)に着目した。LGPSとLATPはどちらも超イオン伝導体でありながらLi濃度という点で大きく異なる。LGPSは結晶構造内におけるLi濃度が高い物質であるが、LATPは単位体積当たりのLi量がLGPSの1/3程度でありLi濃度の低い物質である。このLi濃度がイオン相関と高速イオン伝導の関係にどのように影響するかを明らかにすべく、LATP単結晶のイオン伝導特性評価を行った。その結果、LGPSとは異なりイオン相関がイオン伝導を高速化させていることが示唆された。 本研究の成果から、LGPSのように高濃度Liが存在する物質では、イオン相関によってLiイオンが渋滞し伝導は阻害されるが、LATPのようにLi濃度の低い物質では、イオン相関による同時拡散でイオン伝導が高速化することが明らかとなった。よって結晶構造内のLi濃度はイオン相関とイオン伝導の関係に強い影響を与え、高速イオン伝導にはある程度低いLi濃度であることが重要であることが示唆された。
|