研究課題/領域番号 |
21K04654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
橘 勝 横浜市立大学, 理学部, 教授 (80236546)
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研究分担者 |
鈴木 凌 横浜市立大学, 理学部, 助教 (70846708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | フラーレン / ウィスカー / 弾性率 / 硬さ / フラーレンウィスカー / フラーレン由来アモルファスカーボン / 弾性 / ナノインデンテーション / 結晶成長 / 力学的性質 / 分子結晶 / 電界効果トランジスター |
研究開始時の研究の概要 |
フラーレンナノウイスカー(FNW)とは、直径1μm以下で、長さ100μm以上の分子性結晶の一つである。一方で、FNW は、一般の分子性結晶と同様に力学的強度が弱く脆い。このことは、デバイスなど実用化に向けた最大の課題である。 本研究では、高強度あるいは大きな弾性変形を示すFNW の育成に向けて、ゲル中成長も駆使して溶媒を含む成長制御の方法論の確立を目指す。さらに、ナノインデンテーション法、放射光X線回折、顕微ラマン分光法を用いた変形下のその場観察によって変形メカニズムの解明を目指す。 これらの成果は、フラーレン結晶にとどまらず一般の分子性結晶の力学特性の改善や制御にも繋がることが期待される。
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研究成果の概要 |
液-液界面析出法を用いて様々な種類のファイバー状のフラーレン溶媒和結晶、すなわちフラーレンナノウィスカー(FNW)を育成し、バルク結晶にはない大きな弾性変形を示すことを明らかにしてきた。大気中での加熱処理により、フラーレン分子のケージが破壊することが分かった。ところが、フラーレン分子が破壊しているにもかかわらず、結晶としての周期構造が保持されていることが分かった。さらに驚いたことに、力学特性つまり弾性限界ひずみや硬さが、元々の溶媒和結晶よりもさらに大きな値を示すことが分かった。これは新たな構造体の形成を示しており、今後の新材料として発展が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではフラーレン溶媒和結晶のユニークな力学特性を明らかにした。さらに、加熱処理の条件によって、フラーレンのケージが破壊しているにもかかわらず低次の周期性が保持されているようなユニークな構造体が形成されることを発見した。この構造体は、これまでの溶媒和構造より遥かに優れた弾性率と硬さを示すことがわかり、構造と物性との相関は学術的にも大変興味深いところである。また、この構造体は、新物質として力学特性だけでなく、その他の電気、光学的性質にも興味がもたれ、実用化に向けて社会的にも意義のある成果と言える。
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