研究課題/領域番号 |
21K04691
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
向井 理 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特任教員(助教) (10549851)
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研究分担者 |
丸尾 昭二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00314047)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 光造形 / 3Dプリンター / 可逆的付加開裂連鎖移動 / RAFT / 相分離 / ブロックポリマー / ポリマーアロイ / 階層構造 / 3Dプリント / 可逆逆的付加開裂連鎖移動重合 / 高分子 |
研究開始時の研究の概要 |
光造形法は、学術のみならず産業においても注目されている最も高精細な3Dプリント技術である。光造形法は様々な利用法が模索されており優れた光材料用樹脂が望まれている。しかしながら、材料物性を制御するうえで重要な階層構造のうちサブマイクロメート以下の構造には光造形用樹脂ではほとんど検討されていなかった。本研究では造形物のサブマイクロメートル以下の構造を高分子精密設計法として知られる光誘起可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法を用い階層構造を制御することで材料物性の飛躍的な向上や材料物性を自在に操作可能な新規光造形法の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究テーマ「高分子精密設計に基づく光造形物の階層構造制御」では、研究目的として高分子精密設計法の一つである可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法を用いて造形物のレオロジー特性や機械特性などの材料物性を階層構造を制御することにより自在に操作可能な新規光造形法の構築を目指している。 本研究を実施するにあたり、光造形に一般的に用いられる樹脂である エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499)を硬化させるのに有効な(RAFT)剤の探索を行なった。その結果、ジエチレンチオカボネート(DTC)系のRAFT剤をSR499に少量添加することで、紫外線を照射することで硬化することが明らかになった。従来、RAFT材を用いた光造形法では、Boyerらによって光増感材を添加する方法が報告されているが、材料への着色してしまうといったデメリットが存在した。対して、我々の造形法では、光増感剤を入れずに造形が可能であったことから、材料への着色がなく透明な硬化物を得ることができた。 次に、紫外線による硬化が確認できたことから、我々の独自開発した紫外線レーザーを導入した光造形装置を用い、造形を行なったところ、ピラミッド(高さ:1.5 mm, 底面1.5 × 1.5mm)状の構造物を得ることができた。 さらに、高分子末端にRAFT材を有するマクロ連鎖移動材(macro-CTA)を合成しSR499と混合したものを光造形用樹脂として造形を試みた。その結果、造形時のレーザー走査速度により造形物中の相分離構造の変化により光学特性ならびに力学特性が変化することが明らかになった。さらに、走査速度を変えながら造形を行なったところミクロな相分離構造とマクロなヘテロ構造を併せ持つ階層構造を有する造形物を単一の材料から作成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究テーマ「高分子精密設計に基づく光造形物の階層構造制御」では、研究目的として造形物のレオロジー特性や機械特性などの材料物性を自在に操作可能な新規光造形法の構築を目指している。それに対して、今年度の成果は造形時のレーザー走査速度により造形物中の相分離構造の変化により光学特性ならびに力学特性が変化することを明らかにしており材料物性を制御できることを実証しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、比較的シンプルなジブロックポリマー状のmacro-CTA材を合成し「高分子精密設計に基づく光造形物の階層構造制御」の実証を試みた。上記のように、研究目的である造形物のレオロジー特性や機械特性などの材料物性を自在に操作可能な新規光造形法の構築法についてある程度実証の見込みができたことから、造形物の更なる機能化を目指す。 具体的には、比較的シンプルなジブロックポリマー状のmacro-CTA材からより複雑なスターポリマー、ハイパーブランチポリマー、グラフトポリマーなどを用いて高分子ネットワークの制御を試みる。 また、より高精細な造形が可能である2光子造形法についても検討する予定である。
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