研究課題/領域番号 |
21K04732
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
大越 昌幸 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (70283497)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 超撥水性 / シリコーンゴム / ArFエキシマレーザー / 空気層 / 環境発電 / 水中 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、申請者独自の「レーザー加工」を基礎に、水中乃至は高湿度環境下で機能する微小なIoTデバイス作製のための、新たな環境発電法を開発する。具体的には、真空紫外レーザーによりシリコーンゴム表面に超撥水性を発現させ、その表面に異種の微小金属を形成し、それを水中に浸漬させることにより、超撥水性表面には均一な空気層が形成して、空気層と水の両方に跨る空気層側の異種金属間で微弱な発電を実現する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、超撥水性を呈する固体表面に、異種の微小金属を形成し、それを水中に浸漬させることにより、超撥水性表面には均一な空気層が形成して、空気層と水の両方に跨る空気層側の異種金属間で微弱な発電を実現し、導電性を有する液体に係わる環境下でのエネルギー自律型ウェアラブルデバイス作製に資することを目的としている。 2022年度は、まず異種の金属(AlとCu)が形成された超撥水性シリコーンゴムチップを、濃度3 wt%のNaCl水溶液に浸漬し、超撥水性領域に形成する空気層内で発生する電圧を測定した。その結果、0.5~0.9 Vの電圧発生が安定的に認められた。この得られた電圧の値は、Alの標準電極電位と、Cu電極面で起こるH2Oの還元反応における標準電極電位との差に一致していることが確認できた。また異種金属の位置を変化させ高い起電力が得られる条件の有無について調べた。加えて異種微小導電膜として炭素薄膜との組み合わせも検討した。 上記結果から、得られた微小電力を同一空気層内で同時に蓄電できるマイクロ構造の必要性を認識した。そこで、シリコーンゴム表面に形成する微細隆起構造の先端部に、シリコーンから成る新たなマイクロカプセルアレイ構造の形成を研究項目を加えた。具体的には、厚さ2 mmのシリコーンゴム表面に、直径2.5ミクロンのシリカガラス製微小球を単層に整列させ、その試料にArFエキシマレーザーを、単一パルスのフルエンス35~45 mJ/cm2、パルス繰り返し周波数1 Hz、パルス数1800で照射した。レーザー照射後、シリカ微小球を除去するためHF水溶液を用いて化学エッチングを行う際、最適な実験条件を見出すことで、球状の中空マイクロカプセル構造を周期的に形成することに成功した。なお、超撥水性シリコーンゴムチップの積層化のための基礎的実験は、上記マイクロ蓄電構造を実現した後に行うこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は予定通り、濃度3 wt%のNaCl水溶液中で、超撥水性領域に形成する空気層内での電気化学的な電圧発生を確認することができた。また、異種導電膜として炭素薄膜との組み合わせも検討した。さらに、周期的微細隆起構造の先端部にシリコーンから成るマイクロカプセル構造を均一に形成できる新たな手法を見出し、空気層内で発電と蓄電の両機能を実現できる可能性を得ることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
NaCl水溶液中で超撥水性シリコーンゴムチップ上に形成する空気層内での発電と蓄電を同時に実現させるため、マイクロカップ構造の利用と中空マイクロカプセル構造への電解液の注入方法を検討する。また超撥水性シリコーンゴムチップの積層化のための基礎的実験を行う。
|