研究課題/領域番号 |
21K04755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
山本 拓司 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30358288)
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研究分担者 |
田口 翔悟 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40844270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | セシウムイオン / 吸着 / 固定層吸着破過曲線 / レゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲル / 固定層吸着 |
研究開始時の研究の概要 |
原発事故によって放出された半減期の長い放射性セシウムによる環境汚染は解決への目途が立っていない。セシウムイオンを含む土壌や焼却灰の洗浄水の処理には固定層吸着が最も効率的な手法の一つだが,吸着剤へのセシウムイオンの吸着速度の向上が課題となっている。本研究では,セシウムイオンに対して高い吸着容量を示すイオン交換樹脂レゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲル(以下,RFゲル)を均一なビーズ状に成型したRFゲルビーズ(以下,RFGB)を合成し,当該吸着剤を用いて汚染土壌の洗浄水中のセシウムイオンを高効率で吸着回収するためのプロセスを開発する。
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研究実績の概要 |
セシウムイオン(Cs+)に対して優れた吸着性能を有するレゾルシノール・ホルムアルデヒド湿潤ゲルビーズ(RFGBs)の合成条件を引き続き検討し,2021年度に得られた【課題① セシウムイオンの高速拡散に適したRFGBの細孔構造設計】に関する知見をもとに,【課題② 均一粒子径を有するRFGBの新規合成方法の開発】および【課題③ RFGBのセシウムイオン吸着性能の圧力応答性の解明】をそれぞれ実施した。以下,課題②および③の2022年度の研究実績の概要を順に記載する。
【課題②】(山本・田口)逆相乳化重合法(方法A),ならびに均一粒子径の多孔質セルロースビーズを支持体として用いる方法(方法B)を用いて,固定層吸着への充填に最適な形状である均一粒子径のRFGBを合成した。方法Aで合成したRFGBsを固定層に充填し,固定層吸着破過曲線を測定した。RFGB粒子内部におけるCs+の粒子内有効拡散係数として,バッチ吸着実験の結果に基づく推算値を用いると,破過曲線の計算結果と実験結果の傾きも概ね一致した。このことから,吸着速度に関する物質移動パラメーターを決定できれば,送液流量・吸着剤充填量などを変化させた場合の固定層吸着破過曲線も計算可能であるため,装置をスケールアップする際の設計に本方法を活用できる。方法BではセルロースビーズRFゲルの原料水溶液を均一に含浸するため,含浸の際の種々の操作条件を検討することで,均一な粒子径を維持したままセルロースビーズとRF湿潤ゲルの複合化に成功した。
【課題③】(山本)RF湿潤ゲルの架橋構造に対する圧力の影響を検討するため,現有設備である最大4000気圧まで加圧可能な高圧装置を改造した。精密な温度操作に使用するためプログラム機能付きの恒温水槽を本科研費で購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【課題②】昨年度確立した逆相乳化重合法(方法A)と,市販の多孔質セルロースビーズを支持体として用いる方法(方法B)により,粒子径分布のCVが10%程度のRFGBsを合成し,固定層に充填することにより固定層吸着破過曲線を測定した。バッチ吸着実験で求めた粒子内有効拡散係数を用いて数値計算することで実験結果を再現でき,装置のスケールアップに必要な知見が得られた。
【課題③】RF湿潤ゲルの吸着特性への圧力の影響を検討するため実験系を構築し,予備実験として加圧試験を実施した。構築にあたって困難な点を改善し,次年度の検討に向けての準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の検討の結果,均一な粒子径を有するRFGBの合成方法を確立するとともに,高圧での実験系を構築できた。これらの知見・装置をもとに,2023年度は固定層吸着破過曲線の測定やRFGBの細孔特性に及ぼす高圧力の影響を明らかにしていく。
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