研究課題/領域番号 |
21K04813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 (2022) 福島工業高等専門学校 (2021) |
研究代表者 |
田中 利彦 浜松医科大学, 医学部, 教務補佐員 (10709819)
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研究分担者 |
青山 哲也 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (50342738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | J会合体 / 超放射 / ポリテトラフルオロエチレン / 分子配向 / 色素 / 原子溝 / 配向 / 発光 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリテトラフルオロエチレンのナノ原子溝によって誘起される、高配向ビスアゾメチン色素分子薄膜中に部分的に形成されている高配向J会合体の発光特性を測定し、有機レーザ素子(エキシトン・ポラリトン・レーザ)への応用の可能性を検証する。具体的にはこのJ会合体の形成箇所だけの発光特性を、周囲のJ会合体を形成していない組織と区別して測定し、スペクトルの狭帯化などのレーザ発振に優れた性質(超放射)を確認する。そのために新たに専用に設計した二色性ミラーおよび狭帯域の干渉フィルタを既設の蛍光偏光顕微鏡に組み込み、独自のJ会合体発光ミクロ分布測定システムを開発する。
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研究実績の概要 |
(1)J会合体発光ミクロ分布測定システム: 昨年度に開発したシステムは順調に稼働しており、これにより以下に列挙する成果が次々に順調に得られた。また本システムはナノ粒子(ナノダイヤモンド)集合体のキャラクタリゼーションにも有効であり、それら集合体(ナノシート)の結晶性を示すデータが得られた。 (2)J会合体の発光の確認: 複数のビスアゾ系色素配向薄膜および同色素粉末のJ会合体部分から弱く赤い発光が確認された。発光波長からみてストークスシフトが小さくJ会合体からの発光である。本系統の色素は通常発光しないが、J会合体を形成すれば発光することが判った。この一部に超放射が含まれる可能性はあるが、確認が取れるほどの十分な強度はなかった。しかし確認への足がかりは得られた。 (3)超長波長シフトメカニズム: 昨年度見出された吸収波長の巨大な超長波長シフトのメカニズム解明の見通しが得られた。超長波長シフトに伴いJ会合体は成長しており、それが超長波長シフトをもたらしている一因である。さらに配向方向とは垂直に偏光した光吸収スペクトルの短波長部に別の光吸収ピークが現れるが、これは平行な色素分子間の強い電荷移動を介したエキシトン非局在化によってJ会合体が得られている有力な根拠となった。色素分子間の強い電荷移動を介すればその移動方向に平行な遷移モーメントの射影としてこの短波長部のピークの偏光方向が説明できる。超長波長シフトも短波長部のピークも、この電荷移動を仮定する事でどちらも合理的に説明できる。 (4)J会合体の増量: 超長波長シフトに伴う成長によって薄膜のかなりの部分がJ会合体に変化して、J会合体が増えていることが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
J会合体発光ミクロ分布測定システム観察システムによって、配向したビスアゾ系色素薄膜中に部分的局所的に存在する配向したJ会合体の発光が確認され、かつ吸収波長を大幅に長波長化しつつJ会合体を増やす方法が見出された。したがって、成膜後に薄膜全体をJ会合体に変換できる可能性もある。そうすれば、消光中心が減って超放射の生じる可能性が高まるだけでなく、固有の物性は全て強まり利用しやすくなって、応用にも近づくと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ビスアゾ系色素を例に、分子間の強い電荷移動を介してJ会合体が生成しているというモデルで超長波長シフトを含むすべての現象を説明する事を目指す。そのために構造解析に注力し、できればどれか一種類のビスアゾ色素化合物についてはJ会合体結晶のX線回折測定を行いたい。単結晶が得られない場合も、薄膜での測定等でなんとか全容を把握したい。また一部のデバイスについても検討してみたい。長波長化したケースにおける近赤外領域における受光素子などが候補である。
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