研究課題/領域番号 |
21K04834
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
|
研究機関 | 香川大学 (2022-2023) 兵庫県立大学 (2021) |
研究代表者 |
田原 圭志朗 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50622297)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 有機半導体 / ベンゾチエノベンゾチオフェン / 白金錯体 / ナノ薄膜 / 電気化学発光 / 有機トランジスタ / 金属錯体 / レドックス活性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、有機トランジスタを不揮発性メモリとして応用するため、情報を書込む電荷捕獲層の分子設計指針を確立することを目的とする。レドックス活性な錯体分子から構成される自己組織化単分子膜をプライマリー層として、多層化したホモ積層膜などを絶縁膜表面に作製する。ナノ薄膜のコンポネントとしては、フェロセンや小分子有機半導体で頻繁に用いられている骨格を用い、電荷蓄積に伴う薄膜の荷電状態とメモリ性能の相関を様々な測定法で明らかにする。ゲート電圧操作の履歴に高感度かつ迅速に応答できる高性能な有機メモリの実現に向けて、扱う電荷量やトラップ準位を制御できる本アプローチの有効性を検証する。
|
研究実績の概要 |
基板表面での錯体の逐次積層に向けて、令和5年度は、配位子にベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)を導入した金属錯体の開発を行った。具体的には、3位にBTBT部位を有するピリジン誘導体BTBT-3pyを配位子に用い、目的の白金錯体を合成した。参照錯体は、シクロメタル化した補助配位子がpai-pai*遷移した励起三重項状態(3pai-pai*)に光励起される。また、BTBT-3py配位子は、BTBTからpyへ分子内電荷移動した励起一重項状態(1ICT)に光励起される。両者の構造を含む目的錯体について、過渡吸収スペクトルを測定したところ、BTBT-3py配位子の過渡吸収に類似したスペクトルが得られた。また、このスペクトルの時間変化から、この励起種は三重項状態であることが確認された。これらの結果から、目的錯体は、BTBT-py部位の3ICT状態に光励起されたと結論した。実際に、TD-DFTによって励起状態の最適化構造を量子化学計算したところ、3ICT状態が3pai-pai*状態よりも安定であった。参照錯体とBTBT-py配位子では、3p-p*状態が1ICT状態よりも安定である。このため、目的錯体で、3ICT状態が安定化され、配位子中心が補助配位子からBTBT-pyへ移ったのは、異常なシフトであると言える。pyの3位に付与したBTBT部位が励起状態で大きく構造緩和し、電子構造の再編が起こったと推察される。有機半導体ユニットを白金錯体に導入することで、励起状態を改変できることが示された。 研究期間を通して、錯体を積層したナノ薄膜を作製するため、白金錯体、ホウ素錯体を開発した。ホウ素錯体については、BTBTの二次元配列を一次元πスタックカラム構造へと変換し、薄膜からの電気化学発光を実現した。
|