研究課題/領域番号 |
21K04885
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
野島 雅 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 講師 (50366449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 質量分離 / 静電噴霧 / 薄膜形成 / 電界スプレーイオン化 / マテリアルインフォマティクス / 集束イオンビーム |
研究開始時の研究の概要 |
物質を構成する元素は、パズル全体を構成するピースに例えることができる。本研究は、そのピースを自由に空間に再構築することを目的とする。ピースである元素は、回転電場の回転数を定めることによってビームとして得ることができる。特定の元素から構成されたビームを用いて未知の機能性材料を構成することが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究は溶液金属イオン源を真空中静電噴霧イオン(V-ESI)化によってイオンビームを形成し、REF-MSによって特定の元素のみを堆積:ESDする。これによって、元素レシピを実空間に繰り返し再現することのできる循環サイクル型薄膜形成技術の構築を目指す。溶液金属イオンビームのV-ESI条件の検討を行っている。V-ESI条件下における高電圧印可条件における応力変化に関して検討を行った。走査型電子顕微鏡内にて、V-ESI条件で想定される応力を印加し、材料の破断に至るまでの応力曲線を得た。得られた応力曲線から、V-ESI条件に最適なエミッタの材質・形状を見積もった。V-ESI溶媒は、エチレングリコール系および2-(2-butoxyethoxy) ethanol (DEGBE)の溶液特性を検討した。Co溶液に関しては、0, 0.05 M, 0.1 M溶液を調整し、V-ESIより発生するイオンビームの集束特性および質量分離特性を検討した。溶液の濃度によって、イオンビーム強度の変異が確認された。 質量イメージを行う際のMCP電源回路の開発を行った。MCPゲインを獲得しつつ、安定してイメージを取得することを目的とすることを主目的とした。これまで、電位を重畳させる形でMCP前面・後面に電位を印可していたが、開発ではパラレルにイオン入射側に最大プラス2.5 kV・出力側にマイナス1.5 kV出力する電源を開発した。また、質量分離条件においては、光軸上にハサミ型のスリットを設置することで回転電場内における軌道分離の検討をした。シミュレーションにおいては、m/Z=20-28において周波数固定条件においてスリットの光学条件の差異が認められた。従って、今後に光学条件を再検討することによって質量分離条件を格段に向上できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、溶液金属イオンビームのV-ESI条件の検討を行っている。V-ESIにおけるエミッタに関しては、高電圧印加条件における応力変化を測定した。走査型電子顕微鏡内にて、V-ESI条件で想定される応力を印加し、材料の破断に至るまでの応力曲線を得た。得られた応力曲線から、V-ESI条件に最適なエミッタの材質・形状を見積もった。V-ESI溶媒は、エチレングリコール系および2-(2-butoxyethoxy) ethanol (DEGBE)の溶液特性を検討した。Co溶液に関しては、0, 0.05 M, 0.1 M溶液を調整し、V-ESIより発生するイオンビームの集束特性および質量分離特性を検討した。溶液の濃度によって、イオンビーム強度の変異が確認された。 質量イメージを行う際のMCP電源回路の開発を行った。MCPゲインを獲得しつつ、安定してイメージを取得することを目的とすることを主目的とした。これまで、電位を重畳させる形でMCP前面・後面に電位を印可していたが、開発ではパラレルにイオン入射側に最大プラス2.5 kV・出力側にマイナス1.5 kV出力する電源を開発した。 また、質量分離条件においては、光軸上にハサミ型のスリットを設置することで回転電場内における軌道分離の検討をした。シミュレーションにおいては、m/Z=20-28において周波数固定条件においてスリットの光学条件の差異が認められた。従って、今後に光学条件を再検討することによって質量分離条件を格段に向上できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、V-ESI安定化および検出系の検討を行ってきた。今後は、Co, Cu, Ni三元系材料を目的としたイオンビームのパラメータ構築のためCo(NO3)2 ,Cu(NO3)2 ,Ni(NO3)2混合溶液の質量イメージを取得する。この際には、周波数変調によって目的とする元素を再現性良く質量イメージングするためのノウハウを構築する必要がある。これによって、三元系材料を周波数変調のみで組成形態を操作することが可能となる。すなわち、機能性材料形成において原料レシピの変更は周波数変調のみで行うことができる。形成された薄膜物性は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)にともなう機械学習によって予見できるとされており、物性をものづくり現場に直接還元できるような装置開発をおこなう。 また、今回の研究で新たに検討した光軸上にハサミ型のスリットを設置するアイデアであるが、これまで特定不可能であった複合回転軌道を呈するイオンビームに対しても推定することが可能となるため、元素選択型ものづくり手法の適用範囲を拡大することが期待される。
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