研究課題/領域番号 |
21K04900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
有元 圭介 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30345699)
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研究分担者 |
山中 淳二 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20293441)
澤野 憲太郎 東京都市大学, 理工学部, 教授 (90409376)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 歪みシリコン / 界面準位 / 高移動度トランジスタ / 集積回路 / シリコン・ゲルマニウム / 結晶欠陥 / MOSFET |
研究開始時の研究の概要 |
デジタル社会を支える様々な電子機器は多くの半導体集積回路から成り立っている。半導体集積回路の更なる高集積化・高性能化・消費電力低減を実現するため、半導体材料の高移動度化が求められている。その方法の一つとしてエネルギーバンド構造を結晶格子歪みによってコントロールする歪みエンジニアリングがある。申請者は(110)面を表面方位とするシリコン(Si)に応力を印加することで正孔移動度を大幅に向上できることを実証してきた。本研究では (110)面上歪みヘテロ構造における酸化膜/半導体界面準位の特性を明らかにする。界面準位を低減することで、正孔移動度の更なる向上が期待できる。
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研究実績の概要 |
我々の研究グループは(110)面を表面に有する伸長歪みシリコンにおいて正孔移動度が大幅に増大することを理論・実験により示してきた。実験結果は理論予測の妥当性を裏付けており、480 cm2/Vs(室温)の実効正孔移動度を報告した。この結果はシリコン系半導体の性能的限界が従来考えられてきたものより遥かに高いレベルにあることを示している。実験に用いている試料では、表面の凹凸が大きく、平坦性を向上させることで更に移動度を向上させることができると考えられる。R4年度の研究では、表面ラフネスと界面準位密度との関係を検証した。分子線エピタキシー法で形成した歪みシリコン/シリコン・ゲルマニウム/シリコン(110)構造上に化学気相成長法でシリコン酸化膜を堆積し、アルミ電極を蒸着してMOS構造を作製した。測定はLCRメータを用い、静電容量とコンダクタンスの周波数・バイアス電圧依存性を記録し、コンダクタンス法による界面準位密度の分析を試みた。その結果、原子間力顕微鏡による表面ラフネスと界面準位密度との間に正の相関が明瞭に見られた。静電容量・コンダクタンスは界面準位だけでなくヘテロ界面でのキャリアの挙動にも影響されるため、結果については検証が必要である。このため、別の手法で界面準位密度を見積もり、比較する。具体的には、MOSFET構造におけるCV法とゲート印加ホール測定法による電荷の相違から界面電荷を見積もる方法を検討している。また、シリコン・ゲルマニウム中の面欠陥の分布状況について透過型電子顕微鏡を用いて調べた。面欠陥はシリコン・ゲルマニウムの歪み緩和プロセスによって生じ、電気特性や表面形状に影響する。分析の結果、2つの方位をもつ面欠陥同士が交差しながら空間的には均一に分布する場合と、交差を避けるように不均一に分布する場合が存在することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の分子線エピタキシー装置の不具合やシリコン酸化膜堆積装置の条件検討の影響でやや遅れて進んでいる。しかし、現在はこれらの問題点を解決し、試料作製を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
歪みシリコン/シリコン・ゲルマニウム/シリコン(110)構造の結晶成長と界面準位の評価を行う。コンダクタンス法による界面準位測定ではヘテロ界面でのキャリアの挙動の影響が考えられる。このため、MOSFETにおけるCV測定・ゲート印加ホール測定による電荷密度の差を評価し、コンダクタンス法による結果との比較を行う予定である。
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