研究課題/領域番号 |
21K04948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
阿部 達雄 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20390403)
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研究分担者 |
鈴木 達也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70323839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 無機イオン交換体 / 白金族分離 / 廃炉リサイクル / ハイブリッド / 選択的分離 |
研究開始時の研究の概要 |
原子力発電所の多くは、40年以上が経過し廃止や福島事故に伴う廃炉が多くなることが予想される。本研究では、廃炉から生じる可能性のある成分を回収してアモルファス構造のハイブリッド無機イオン交換体を合成し、核燃料廃棄物中に多量に生成している放射線性が高く毒性のあるセシウムやストロンチウム、アンチモン、ニオブなどを取り除き、有用な白金族元素を回収に用いることができると考えた。本提案では、固相反応法および複合体作製技術により、新たなハイブリッド無機イオン交換体の合成を試みる。特に固相反応法は、比較的低温で合成でき高圧も必要無く安全な方法であり、新規機能性材料を簡潔かつ安全に獲得できる。
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研究実績の概要 |
現在,原子力発電所の多くは,40年以上が経過している。福島の原子力発電所の事故に伴い,廃炉が多くなることが予想されている。廃炉から生じる可能性のある成分(鉄(Fe),モリブデン(Mo),スズなど)を回収して,無機イオン交換体を合成し,核燃料廃棄物中に多量に精製している放射線性が高く毒性のあるセシウム(Cs),ストロンチウム,アンチモン(Sb),ニオブ,セレン(Se),セリウム(Ce)などを取り除き,有用な白金族元素を回収することを目的とした。
今年度は,スズおよびジルコニウムを含むイオン交換体3種を合成した。XRD分析を行い各イオン交換体ともハローパターンが見られたことから不定形であることを確認した。また,熱分析を行いそれぞれ異なる物質であることを確認した。これらイオン交換体は、Fe,Mo,Cs,Sb,Se,Ceについて塩酸溶液中での吸着特性をバッチ試験で評価した。 塩酸濃度が0.03,0.1,0.3,1.0,3.0 mol/Lで試験を行ったところ,Fe,Mo,Sb,Seに対してよく吸着するイオン交換体があった。一方,今回合成したイオン交換体はCs,Ceをよく吸着するものはみられず,その他の元素を選択的に吸着していた
また,新規の無機イオン交換体として、アンチモン酸スズやタングステン酸スズ等を作成した。現在,完全に化学的な特性や構造の把握には至っていないが,ルテニウムの選択的吸着等を見せるなどの特徴を確認した。また,他の核分裂生成物として,アルカリ金属等の吸着特性も確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね,順調に研究が進んでいる。 アンチモン,スズ,タングステン,ジルコニウムなどの複数の異なる元素を含む無機イオン交換体が,特徴のある吸着特性により,廃炉リサイクルに有用であることがわかってきた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に合成した無機イオン交換体を参考にマッフル炉を用いた固層反応法等により複数元素を導入した新規ハイブリッド無機イオン交換体を合成する。 合成した無機イオン交換体の組成については,まだ不明なところもあるので安定した合成方法を確立すると共に更なる新規無機イオン交換体の合成についても検討を行い,元素の吸着についても廃炉リサイクルに必要な核種に広げると共,模擬廃液を用いてカラム法による白金族分離の実験も実施する予定である。
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