研究課題/領域番号 |
21K04954
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
神崎 訓枝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 人形峠環境技術センター, 研究職 (70826510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ラドン / 低線量放射線 / 抗酸化機能 / メタボローム解析 / 放射線影響 |
研究開始時の研究の概要 |
低線量放射線の生体影響に関する社会的関心は高まっているが、今もなお議論が続いている。我々はこれまで、マウスを用いた動物実験により、ラドン吸入による低線量被ばくで臓器中の抗酸化能が向上し、疾患抑制効果があると報告した。これは、生体の恒常性維持機能が働いていると考えられるが、そのメカニズムの全容は解明されていない。そこで、本研究では、低線量域での放射線生体影響の議論を補う成果を得るため、ラドン吸入後のマウス臓器の抗酸化能に注目したメタボローム解析を行う。機械学習を用いたデータ解析によって、マウスが一定期間ラドンを吸入したときの代謝の変化を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、ラドン吸入後のマウスの抗酸化機能に焦点を当てたメタボローム解析を実施し、肺と血清の代謝物を網羅的に解析して、その結果から被ばく条件による違いをまとめた。血清のグルタチオン等を分析すると、マウスはラドン吸入後に抗酸化状態にあることが分かったが、肺への影響は明確には分からなかった。そこで、X線照射実験による高線量被ばくとの比較や機械学習等を用いた詳細なデータ解析を行い、ラドン濃度に対する生物学的反応と吸入期間に対する生物学的反応には異なる反応があることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ラドン吸入後のマウス肺の被ばく影響を評価するため、抗酸化物質グルタチオンの持つチオール基に余分なイオウが結合した活性イオウ分子種に着目したメタボローム解析を行い、超低線量で慢性的に被ばくしたときの生体内の酸化ストレス状態がどのように制御されているかを明らかにした。被ばくとイオウ代謝の関連は分かっていないことが多く、放射線生物学分野でも新しい有益な知見が得られたと言える。また、適度な外部刺激によって酸化ストレスが制御される機構の一端が解明され、酸化ストレス関連疾患の新しい治療戦略等にも役立つと期待できる。
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