研究課題/領域番号 |
21K05011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
脇川 祐介 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (90708512)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 光検出磁気共鳴 / シングレットフィッション / 三重項ハーベスト / 三重項励起子 / 電流検出磁気共鳴 / 有機半導体 / 電荷再結合 |
研究開始時の研究の概要 |
低炭素社会の実現を背景に実用化が期待されている有機光電変換素子の開発において、三重項励起子の有効利用(三重項ハーベスト)が素子高性能化への鍵として注目されている。しかし、動作中の有機素子で(オペランド)、三重項ハーベストを確かめ、その反応機構を調べる有効な計測手段は確立されていない。そこで本研究では、ゼロ磁場における電子スピン共鳴法と発光・電流測定法を融合させることで、三重項ハーベストをオペランド観測する新しいスピン計測法を開発する。また、三重項ハーベストの支配因子である三重項励起子や電荷の衝突対のスピン挙動を詳細に解明し、三重項ハーベストを志向した分子・素子構造の開発に向けた指針を示す。
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研究実績の概要 |
低炭素社会の実現を背景に実用化が期待されている有機光電変換素子の開発において、三重項励起子の有効利用(三重項ハーベスト)が素子高性能化への鍵として注目されている。しかし、動作中の有機電子デバイスにおいて(オペランド)、三重項ハーベストを確かめ、その反応機構を調べる有効な計測手段は確立されていない。そこで本研究では、ゼロ磁場における電子スピン共鳴法と発光・電流測定法を融合させることで、三重項ハーベストをオペランド観測する新しいスピン計測法を開発する。また、三重項ハーベストの支配因子である三重項励起子や電荷キャリアの衝突対の挙動を解明することで、その制御法の創出を目指す。 昨年度実施したテトラセン多結晶粉末におけるゼロ磁場付近の光検出磁気共鳴(ODMR)の測定と密度行列を用いた理論計算について再検討を行った。テトラセン多結晶粉末のシングレットフィッションの過程で形成される三重項励起子対の解離速度と再結合を実験的・理論的に明らかにし、本研究で開発したゼロ磁場付近のODMRが三重項ハーベストを支配する三重項励起子対ダイナミクスの解明に適用できる新たな測定法であることを見出した。本成果は論文にまとめ、国際査読誌に投稿中である。 昨年度開発したゼロ磁場付近の光・電流検出磁気共鳴(EDMR)測定装置は、LC回路を用いていたため特定の周波数に制限されていた。そこで、マイクロストリップラインを用いた非磁性のテストフィクスチャを購入し、測定装置の広帯域化を行った。ルブレン多結晶粉末におけるゼロ磁場付近の広帯域ODMR測定を行った結果、ルブレン多結晶粉末では、テトラセン多結晶粉末と異なり、三重項励起子対ダイナミクスに対して励起子拡散が影響していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度開発したゼロ磁場付近のODMR・EDMR測定装置の広帯域化に取り組み、本装置の弱点を克服することができた。次年度は、三重項励起子対ダイナミクスに対する結晶相の効果や電子デバイスにおける三重項ハーベストの実証に取り組むことができるため、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から引き続いて、開発した広帯域ゼロ磁場EDMR・ODMR測定法を、三重項ハーベストを示す様々な有機材料とその電子デバイスに適用し、三重項ハーベストのオペランド観察を行う。シングレットフィッションを示す有機材料の蛍光量子収率が低いため、検出器をこれまでのフォトダイオードからアバランシェフォトダイオードに変更し、ODMR測定の高感度を目指す。
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