研究課題/領域番号 |
21K05088
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
松坂 裕之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50221586)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ルテニウム / ペアレントCp配位子 / 1,2,4-トリ-tBu-シクロペンタジエニル / メチレン / メチリジン / イミド / オキソ / スルフィド / パラジウム / 異種金属クラスター / プロパギリデン / 2核錯体 / ペアレントシクロペンタジエニル配位子 / 銅 / アミド / カーバイド / 多核錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者らが最近見出した「3当量の“CpRuCl”フラグメントの合成等価体」として機能するイオン対型錯体 [CpRu(eta6-C10H8)][CpRu(eta2-Cl)3RuCp]([1][2] ) から、新規多核金属反応場としての一連の配位不飽和多核CpRu錯体を合成する。それらへの各種基質分子の結合状態と化学変換過程の詳細を解明することを通して、新たな有機ルテニウム錯体の化学の進展と、より高活性かつ高選択性を有する新触媒の設計に資することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
これまでに明らかにしたCpおよびCp*を支持配位子とする配位不飽和多核ルテニウム錯体の合成と反応性に関する知見をふまえ、よりかさ高い1,2,4-トリ-tBu-シクロペンタジエニル (Cp‡)をルテニウム上に導入した場合にについて調査した。 ジクロリド錯体(Cp‡Ru)2(mu-Cl)2をPh2SCH2で処理すると、ジクロリドメチレン錯体(Cp‡Ru)2(mu-Cl)2(mu-CH2) (3)が得られた(81%)。Cp*やCpを支持配位子とする2の類似錯体はこれまでに合成されていない。2をNaOHと反応させるとオキソメチレン錯体(Cp‡Ru)2(mu-O)(mu-CH2) (3)が得られ(40%)、3とNH2Phとの反応によりイミドメチリジン錯体(Cp‡Ru)2(mu-NPh)(mu-CH2) (4)が生成した(52%)。4を[FeCp2][OTf]で2電子酸化するとイミドメチリジン錯体[(Cp‡Ru)2(mu-NPh)(mu-CH)][OTf]2 (5)が得られた(29%)。また、3をHOTf及びNH2NH2と逐次的に反応させるとヒドラジド錯体[(Cp‡Ru)2(mu-NHNH2)(mu-CH2)][OTf] (6)が生成した。一方2をLi2Sで処理すると3に対応するスルフィドメチレン錯体(Cp‡Ru)2(mu-S)(mu-CH2) (7)が得られた(96%)。3、4、5、7はX線解析により構造の詳細を明らかにした。以上のように最終年度においてはCpおよびCp*の系では得られなかった2、3、7などイミド以外の架橋配位子を有する一連のメチレン錯体の合成に成功した。 3年間の研究により、Cp及びCp‡を支持配位子とする一連の新規配位不飽和多核ルテニウム錯体の合成に成功し、それらの構造と反応性に関する多くの知見を得たることができた。
|