研究課題/領域番号 |
21K05110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
齊戸 美弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00303701)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 組紐 / 合成細繊維 / マイクロ試料前処理 / マイクロカラム / 二次元分離 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、耐熱性および耐薬品性を有する複数の細い合成繊維の束を編み上げた組紐を作製し、その試料前処理用の抽出媒体ならびにクロマトグラフィー用分離固定相としての応用を検討する。それぞれ数百本の細繊維から形成される細繊維束を組紐状に配置する際に、内部に空洞部分を形成することが可能であり、この中に他の各種繊維状の素材を導入できることから、多様な選択性を有し、抽出・分離性能に優れた分離システムが開発できる。組紐内部に金属ワイヤー等を導入することにより、抵抗加熱による試料脱着も可能であり、高速昇温分離用充填キャピラリーカラムあるいは二次元分離インターフェイスへの応用も考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究においては、耐熱性および耐薬品性を有する複数の合成細繊維の束を細管内部に組紐状に配置した、試料前処理用の抽出媒体ならびにクロマトグラフィー用の分離固定相を開発することが主たる研究目的である。本研究において開発する組紐の材料には、その応用において要求される、耐溶媒性、耐薬品性ならびに耐熱性に優れた高強度合成細繊維を使用し、それぞれ数百本の細繊維から形成される細繊維束を細い組紐状に編み上げる。その際、組紐内部に小さな円筒状の空洞部分を形成することが可能であり、この空洞部分に他の各種繊維状の新規素材を導入できる。組紐を構成する構成要素として高強度の合成細繊維束を導入することにより、編み上げ後の組紐表面の平滑性を十分に確保するとともに、キャピラリー内部へ充填時の空隙体積を大幅に低減できる一方で、多数の細繊維による大きな総表面積を確保できることから、使用目的に応じた多種多様な選択性を有し、抽出・濃縮性能に優れたマイクロスケール試料前処理媒体が開発できる。組紐内部に高熱伝導性の細い金属ワイヤーを導入することにより、金属ワイヤーの抵抗加熱による発熱を利用し、組紐内部からの精密温度制御ならびに効率的な試料脱着も可能であり、更には、高速昇温分離用充填キャピラリーカラムへの応用、また、二次元分離インターフェイスへの応用も期待できる。本研究では、一繊維束あたりの細繊維本数、細繊維束の本数、ならびに編み上げる際に張力として組紐にかける荷重等の条件を最適化することにより、目的のキャピラリー内径に適合した外径・性能を有する各種組紐を作製し、系統的に評価している。また、その結果をフィードバックすることにより、使用目的に適合する組紐型デバイスを作製するとともに、その性能の最適化についても検討している。電圧印加方法やその効果についても検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの本研究の進捗状況は順調であり、当初想定した計画以上に進展していると考えられる。研究計画に従って、組紐を構成する各種高強度合成細繊維の性能を比較検討し、ポリベンゾオキサゾール系の合成細繊維ならびに芳香族ポリアミド系の合成細繊維を優先候補として選定し、これらを使用した組紐の作製条件について検討した上で、多種多様な編み方ならびにサイズの異なる組紐を試作した。また、これらの機械的強度、耐有機溶媒性、耐熱性等についても、実際の使用環境を再現して確認し、使用する合成細繊維が本研究で使用を想定している各種条件下での継続使用に十分に耐えうる性能を超える高い性能を持つことを確認した。細繊維束の本数、作製時の張力などについて、異なった各種編み上げ条件において実際に作製した組紐は、それぞれ異なった形状ならびに外形を有しており、使用を想定している各種キャピラリーへの充填に際しても、抽出キャピラリーの性能に特に大きく影響するものと想定される内部空隙体積の大きさも含めて、これらの組紐が十分に目的に適合することを確認している。内部に細い金属ワイヤーを挿入した形式の組紐の作製にも成功しており、微弱電圧印加による抵抗加熱についても一定の指針を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画最終年度である次年度も、当初の研究計画に沿って、金属ワイヤー挿入型の合成細繊維組紐充填キャピラリーの性能評価、ならびにその応用を中心に研究を推進する。組紐型抽出キャピラリーの評価に関しては、モデル溶質を含む水試料を抽出キャピラリーに通液した後、微量の有機溶媒等を用いて溶質を脱着させ、抽出キャピラリーの性能評価を行う。金属線を内部に入れた組紐型媒体では、その金属線に自作の電源装置から発生させた微弱電流を通電することによる抵抗加熱脱着について、印加する電圧プログラムの作製およびそれらを使用した脱着条件等を系統的に検討するとともに、二次元分離インターフェイスとしての可能性についても検討する。また、一般的に、組紐をキャピラリーへ充填する際には、一定の機械的強度が必要であるが、本研究で開発する組紐は、内部に他の特性を有する細繊維束を複合化一体化することが容易であり、従来の細繊維平行充填型キャピラリーでは使用することが困難であった、多種多様な繊維状材料を組紐内部空間導入用として利用できることから、その新規マイクロ分離媒体としてのクロマトグラフィー分野における応用可能性についても検討する。
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