研究課題/領域番号 |
21K05131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
青木 元秀 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30418917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リピドミクス / LC/MS / 細胞内共生 / 生体膜脂質 / LC-MS / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアや葉緑体といったオルガネラを生み出した細胞内共生は、細胞の中に細胞が共生することにより新たな機能と構造を獲得する機会を生物にもたらす細胞進化の大きな原動力となっている。真核細胞の進化過程を解き明かす上で、細胞内共生がどのように成立し、維持されているのかを分子レベルで詳細に理解することが求められる。本課題では、先端的液体クロマトグラフィタンデム質量分析法による細胞内共生研究モデル生物の脂質一斉解析(リピドミクス)技術基盤の構築に取り組む。これをさらに、細胞内共生成立過程における脂質挙動解析へ応用して、生体膜脂質が細胞内共生に果たす役割およびメカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
生体内には数万種を超える脂質分子が存在すると推定されている。細胞内共生成立過程における生体膜脂質の果たす役割と機能を調べようとするとき、詳細な脂質プロファイルデータを取得・解析することができれば、それらを手掛かりに重要な働きを担う因子を探索することができる。近年急速に発達してきた高速液体クロマトグラフィ-タンデム質量分析法(LC/MS/MS)は、高感度な分析法として注目を集めており、生体試料中の脂質成分を一斉に検出可能な先端的なリピドミクス技術の一つとして、生体中の脂質プロファイリングや挙動の解析、化合物同定への適用例も多く報告されてきている。 現在、この先端的リピドミクス解析技術を新たにミドリゾウリムシとクロレラの細胞内共生成立過程における脂質プロファイル解析に適合するように網羅性と解析データの質の向上を目指して分析条件の調整を進めている。これまでに最適化した脂質一斉分析システムを利用して、異なる細胞から抽出した全脂質試料から取得される脂質プロファイルデータのディファレンシャル解析を実施し、挙動に変化のある脂質成分の探索が可能かを検証した。検証試料として機能未知のアシルトランスフェラーゼ様タンパク質を欠損したラン藻細胞を用い、その代謝生成物を解析したところ、欠損株で消失する脂質成分を見出すことに成功した。さらに、見出された変動脂質成分について、高分解能質量分析システムを用いた精密質量分析により分子構造を解析した結果、同成分を同定することもできた。 今後、細胞内共生成立過程における詳細な脂質プロファイルをリピドミクス分析により経時的に追跡し、共生過程において変動する脂質の探索・同定およびその定量的な評価へと解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、脂質プロファイリングのためのLC-MSMSシステムを基本的な解析手段として用いている。これまでに最適化した脂質一斉分析システムを利用して、異なる細胞から抽出した全脂質試料から取得される脂質プロファイルデータのディファレンシャル解析を実施し、挙動に変化のある脂質成分の探索が可能かを検証した。機能未知のアシルトランスフェラーゼ様タンパク質を欠損したラン藻細胞を検証試料として用い、その代謝生成物を野生型細胞と多変量比較解析したところ、欠損株で消失するいくつかの脂質成分を見出すことに成功した。さらに、見出された変動脂質成分について、HPLCと高分解能質量分析装置を結合したLC/qTof MSシステムを用いて分子構造を解析した結果、同成分の同定も成し遂げることができた。得られた成果は、Frontiers in Plant Science誌に発表した。現在、構築したリピドミクス解析技術を用いてミドリゾウリムシとクロレラの共生成立に寄与する脂質の挙動解析と同定を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、2次元薄層クロマトグラフィ(2D-TLC)による予備的解析で、ミドリゾウリムシとクロレラの共生に伴う脂質プロファイルの変化と、未知の脂質が発現することを見出している。このようなダイナミックな脂質組成の変化や新たな脂質の発現が、細胞内共生において共生生物が消化から免れるメカニズムに重要な役割を果たす可能性がある。本研究で構築した脂質プロファイルデータのディファレンシャル解析メソッドを用いることで、変動成分を探索・同定できることが示された。現在、細胞内共生モデル生物ミドリゾウリムシの細胞の脂質プロファイリングを進めているデータから、共生成立に寄与する脂質の探索と挙動を解析を実施する。また、ここで見出される成分について、LC-qTofを用いた精密質量分析にり分子構造解析を実施して、同成分の同定を進める。最終的に、脂質代謝と機能の側面から、細胞内共生がどのように成立し、維持されているのかを明らかにできると期待している。
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