研究課題/領域番号 |
21K05136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
田村 和久 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (10360405)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イオン液体 / 表面構造解析 / 電析反応 / 電気化学 / 表面界面構造 / 量子ビーム / 電気二重層 |
研究開始時の研究の概要 |
イオン液体は“常温で液体である塩”であり、電気分解されにくい電気伝導度の高い液体である。水溶液同様、イオン液体を電解液にした電析(メッキ)が可能であり、工業的に有用なLiやAlの電析(メッキ)が可能である。一方で、イオン液体中で得られる電析物の形状が、水溶液中の場合と大きく異なることもわかってきた。電気化学反応が起きている電極/イオン液体界面の構造が水溶液の場合と大きく異なることが原因であると考えられる。そこで本研究では、可視光および原子・分子スケールで解析可能な中性子線とX線を用いたその場構造解析手法を用い、電析反応下における電極/イオン液体界面の構造を解析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、電気化学測定と可視光・量子ビームを利用した測定手法を組み合わせてその場同時測定を行うことで、イオン液体中でのアンダーポテンシャル電析(UPD)反応を解析することを目的としている。具体的には、イオン液体として1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフオロボレート([BMIM]BF4)を、析出させる金属にBiとして、Au(111)単結晶電極上でUPD反応がどのように進むかを調べる。 これまでに行った可視光反射率実験の結果を詳細に解析した結果、水溶液中では、UPDしたBI原子はAu(111)表面上でdisorder、primitive (2x2)、honeycomb (2x2)と構造変化すると共に段階的に還元反応が進むことを明らかにした。一方で、[BMIM]BF4中では、Bi1原子当たりの反応電子数がBiの価数より大きい過程が存在し、電析反応と平行して電解液中のイオン種の吸脱着が起きていることを示唆する解析結果を得た。BF4アニオンは金属イオンとの相互作用が小さく、[BMIM]BF4中では、Biイオンは溶媒和しておらず、溶質として使用したBiCl3として存在し、水溶液中とは異なる過程でUPD反応が進むと考えられ、還元反応において最初にCl原子がBiCl3から脱離し、脱離し生成した塩化物イオンがBiイオンの還元と並行して吸脱着していると考えた。また、[BMIM]BF4中でUPD反応が起こる原因を表面X線回折実験で調べた。[BMIM]BF4中ではAu(111)表面は(1x1)と(px√3)構造の間で相転移することがわかった。これは、BF4アニオンとAu原子との相互作用が小さく水溶液中の環境と似ていることを示しており、その結果、[BMIM]BF4中ではUPD反応が起きることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに、これまでに行った可視光反射率実験で取得したデータの詳細な解析と表面X線回折実験を並行して進めており、さらに詳細を調べるためのX線回折実験に必要な準備を進めていることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り、表面X線散乱測定を進めると共に、中性子反射率測定を行い、Bi電析反応の各段階における、Bi原子層で被覆されたAu(111)表面の構造を三次元的に精密に解析していく。
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