研究課題/領域番号 |
21K05150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘和 愛媛大学, 社会連携推進機構, 准教授 (10537822)
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研究分担者 |
秀野 晃大 愛媛大学, 紙産業イノベーションセンター, 講師 (30535711)
深堀 秀史 愛媛大学, 紙産業イノベーションセンター, 准教授 (70617894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | リサイクル / グリーンコンポジット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、耐水紙廃材からWPCの高性能化につながる高相容で多分岐な紙粉を開発し、原料と製品のサイクルが等価となる資源循環モデルの構築が目的となる。そのためには、「多分岐化等、高比表面積化し、プラスチックへのアンカー効果を発現する耐水紙廃材の解繊技術」、「耐水紙廃材に混在する樹脂(耐水材)を改質し、プラスチックとの密着性を高める繊維表面処理技術」およびこれらの結果を踏まえて、「WPC原料に適した新たな耐水処理技術(耐水紙)」を開発する。
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研究実績の概要 |
カーボンニュートラルな社会実現に向けた取組みの中で、石油由来資源プラスチック使用量削減の手段の一つとして、紙に樹脂をラミネートあるいは含浸した耐水紙が注目されている。しかしながら、耐水紙はプラスチックに比べ耐久性が低いため、素材の高寿命の観点から、リサイクル方法の確立は重要である。また、紙は、回収や再利用のシステムが確立しているが、耐水紙は、樹脂を分離する工程が必要となり、汎用の紙リサイクルに比べ、エネルギーやコスト面での負荷が大きい。そこで、今後、脱プラ/減プラ需要で拡大が予想される耐水紙にて、紙と樹脂を分離すること無く素材自体の高寿命化につながるリサイクル方法としてウッドプラスチック(WPC)への活用を検討する。 研究は大きく「①多分岐繊維:耐水紙から紙と樹脂を分離すること無く、かつ、補強効果(アンカー効果)等の機能性が高いWPC用フィラーの多分岐繊維」、「②多分岐繊維の高相容化:多分岐繊維のポテンシャルをWPC性能として最大限に発現させるため、樹脂との接着性(相容性)を高める多分岐繊維の表面処理」、「③WPCに適した耐水処理:脱プラ/減プラ用途としての性能を確保し、かつ使用後、WPCフィラーとして適した耐水紙を製造するための耐水処理」の3点を実施する。本年度は、せん断型解繊機を用い、多分岐繊維を作製し、WPC性能に及ぼす影響を評価した。また、耐水紙粉砕物を混練する際に、過酸化物や無水マレイン酸を添加することで、耐水紙中のプラスチック成分を相容化材に改質する表面処理手法も検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①多分岐繊維(一部、②多分岐繊維の高相容化課題も含む) 古紙を汎用の粉砕機にて0.5mmサイズに粉砕した後、ヘンシェル型ミキサで多分岐処理を実施した。この多分岐繊維を酸変性樹脂で表面処理を行いWPCに添加、各種性能評価を実施した。多分岐繊維をWPCに添加することで、引張強度等の機械的特性の向上が認められた。これは、多分岐繊維とWPC中のプラスチックとの相容性向上効果と予想される。また、多分岐処理と同時に表面処理を行うことで、高相容化が促進され、機械的特性のさらなる向上が見いだされた。加えて、多分岐と表面処理を同時に実施したWPCは、溶融粘度の向上も認められた。多分岐繊維は、流動性にはマイナスと想定していたので、この結果は、新たなる発見と言える。 ②多分岐繊維の高相容化 市販の耐水紙廃材(ポリエチレンでラミネートされた牛乳パック)粉砕物を用い、過酸化物と無水マレイン酸を添加し、溶融混練を実施した。この狙いは、耐水紙廃材に含まれるプラスチック成分(ポリエチレン)を酸変性することで、表面処理材に変換することが目的である。想定通り、プラスチック成分が相容化材に変性され、表面処理を実現できた。この変性パルプを用い、複合材評価を実施した結果、高い機械的特性と耐水性が認められた。さらに、本来ポリエチレンを酸変性した場合、ポリエチレン分子が架橋し高分子化するが、本評価では、低分子化した。この要因は検証中であるが、低分子化することで、溶融粘度も向上し、成形性の改善につながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果で、「A:多分岐処理と表面処理を同時に行うことで、高い相容性が確保でき、機械的特性の向上が認められた」、「B:ポリエチレンのラミネート紙粉砕物を変性処理することで、機械的強度と耐水性向上が実現した」を実証した。したがって次年度は、Bと同様な変性処理ができるラミネート紙でかつ、バリア性等の耐水紙に必要な機能を発現する処理を施した耐水紙を開発するとともに、この耐水紙をAの多分岐+表面処理とBの変性処理を同時に行う加工法の確立を行う。この手法で作製した表面処理多分岐繊維をWPCに添加し、各種WPC性能に及ぼす影響を評価する。
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