研究課題/領域番号 |
21K05177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
名倉 和彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (60758332)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ポリチオフェン / オリゴチオフェン / π共役 / 高次構造 |
研究開始時の研究の概要 |
π共役高分子は,有機エレクトロニクス分野の中核を担う化合物群である.その階層構造の制御を可能とする分子設計の確立は,基礎・応用の両面において重要な課題である.本研究では,申請者が独自に開発したループ状π共役ユニットを基盤にもちい,1次元π共役鎖の立体構造を段階的に多次元化し,精密な高次構造を構築することを目的とする.具体的には,1)周期的にループ鎖と直鎖を導入したπ共役高分子を精密に合成し,2)溶液状態において2次元シート構造を構築する.さらに,3)シート構造を集積することで3次元構造の構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,昨年度合成した2次元シート構造を形成するポリチオフェンの光・電気化学特性および会合状態における物性と構造について調べた. 同じ鎖長,置換基位置をもつ直鎖状の有する参照化合物を合成し,溶液状態における吸収特性の鎖長依存性についの詳細な解析を行った.ループ構造を構成単位とすることで,最長で23チオフェンユニットにわたってパイ共役長が有効に広がっていることを明らかにした.また,量子化学計算の結果,シート構造の形成に伴って,高次の励起状態への電子遷移も許容になるため,直鎖状高分子に比べ,幅広い波長領域の光を吸収することを見出した.また,電気化学特性についても比較したとろ,シート状ポリチオフェンは,直鎖状分子とは異なり,拡張により酸化電位の連続的なシフトおよび低い酸化電位を示すことを見出した.これは,吸収スペクトルから得られた知見と同様に,2次元シート全体にパイ共役を効率的に非局在化できていることを示唆する結果である.凝集状態における相転移挙動について検討したところ,シート状構造の形成により,高い融点,幅広い温度域における液晶相の形成を見出した.薄膜状態における吸収スペクトルでは,溶液状態に比べて吸収バンドの顕著な長波長シフトが見られた.これらの結果は,シート構造の積層に起因したπ共役骨格間の相互作用の発現を示唆している.薄膜状態のX線回折の結果からも,シート構造の積層に相当する回折ピークが見られたことから,1次元π共役鎖の2次元化により,効率的に積層構造を形成できる知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シート状構造の形成にともなう光学物性,電気化学特性の評価から,π共役をシート全体に効率的に拡張可能であることが確認できた.また,薄膜状態における会合体を形成においてシート構造が積層した高次構造の知見が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
合成した単分散ポリチオフェンの凝集状態における構造および物性,機能開拓について検討する.側鎖構造の改変や溶媒蒸気等の外部刺激をトリガーとして凝集状態における高次構造や積層構造の制御を試みる.また,空孔をもつシート構造の形状を活かしたドーピングや導電性についての検討を行う.
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