研究課題/領域番号 |
21K05290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
友原 啓介 九州大学, 基幹教育院, 助教 (40711677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Ugi反応 / 天然物コネクテッド型分子 / アンモニア-Ugi反応 / ペプチド合成 / 天然物抽出物 / 天然物コネクティッド型分子 / 植物分子 / 天然物様分子 / 一斉合成 / ケミカルスペース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、天然物抽出物そのものを基質とした多成分連結合成を実施する。これにより、天然物抽出物に含まれる複数の天然有機分子が反応して同一分子に組み込まれた天然物コネクティッド型分子を一斉合成し、創薬研究等に利用可能な新規ケミカルスペースを構築する。また、古典的な天然物化学的研究手法では単離が難しい不安定成分や微量成分などの未開拓天然有機分子を直接分子変換に付して、単離容易な天然物様分子へと変換し単離・構造決定することで、未開拓天然有機分子を能動的に発掘する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、天然物抽出物を基質とした多成分連結型Ugi反応を用いて合成した各種天然物様分子と天然物コネクティッド型分子の生物活性評価を実施した。その結果、これらの分子がαーキモトリプシン阻害活性、あるいは栄養飢餓耐性解除戦略に基づく抗がん活性を示すことが明らかとなった。 さらに、Ugi反応を利用した天然物様分子の合成研究を進める過程で、難攻不落とされる「アンモニア-Ugi反応」の存在に着目し、その開発研究に着手した。アンモニア-Ugi反応は、アルデヒドまたはケトン、イソニトリル、カルボン酸、アンモニアの4成分連結反応であり、α-アシルアミノアミド(α-アミノ酸誘導体)のワンポット合成法として知られている。しかしながら、アンモニア-Ugi反応は、アンモニアの取り扱いの難しさに加えて、塩基性のアンモニアに起因する副反応や、反応中間体であるN-無置換イミンの不安定性及びそれに起因したPasserini付加体(アルデヒドまたはケトン、イソニトリル、カルボン酸の3成分連結体)の副生等が原因でおしなべて低収率であり、加えて加熱や高温条件でのμ波照射などの過酷な反応条件を必要とする等の理由により、実践的な分子合成法としては位置付けられていない。この様な背景のもと、種々検討を進めた結果、アンモニア-Ugi反応が高収率で進行する反応条件を見出すことができた。本反応は、非天然型アミノ酸含有天然物様ペプチドの簡便合成法としての利用可能性を秘めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
夾雑物を含む天然物抽出物の混合物を基質としたUgi4成分連結反応により、起源の異なる複数の天然有機分子が反応して同一分子に結合した天然物コネクティッド型分子の初の一斉合成を達成し、これら分子の特異な生物活性を明らかとした。さらに、高効率なアンモニア-Ugi反応条件を見出すことができ、天然物コネクティッド型分子の合成戦略を拡張することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、多様な天然物抽出物を用いて天然物コネクティッド型分子の一斉合成を進め、創薬研究などに利用可能な天然物コネクティッド型分子ライブラリーの構築を目指す。加えて、2022年度に開発に成功したアンモニア-Ugi反応を用いて、天然物由来ペプチドの合成研究に着手する。
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