研究課題/領域番号 |
21K05340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原 良太郎 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70553535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脂肪酸アミド / アミド化合物 / 脂質メディエーター / 酵素法 / アミド結合 / 酵素精製 / serine protease / Mycobacterium / 酵素 / 探索 / スクリーニング / 物質生産 / 高度不飽和脂肪酸 / アミド化 / 微生物酵素 / バイオ生産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高度不飽和脂肪酸に代表される生理活性脂肪酸を酵素法によりアミド化することで、物性や安定性が向上した生理活性脂肪酸アミドを創出するバイオプロセス基盤を構築する。そのために、多様な脂肪酸とアミンを常温常圧下で連結、転移する微生物由来酵素を探索する。具体的には、①アミド結合形成活性を有する新規酵素の探索、②既知酵素の機能開拓の2つの戦略で研究を進める。得た知見をもとに酵素反応の最適化を行い、効率的な脂肪酸アミド合成を行う。
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研究実績の概要 |
脂肪酸のカルボキシ基にアミンを付加した脂肪酸アミドは、可塑剤として利用されているだけでなく、新たな脂質メディエーターとしての利用が期待される有用化合物である。酵素や微生物を活用したバイオプロセスにより脂肪酸アミドを生産することが可能となれば、化学合成法に依存した現行の製法の代替となり得る。本研究では、多様な脂肪酸のカルボキシ基にアミン類を付加した脂肪酸アミドを生産するための微生物探索と、バイオプロセスへの応用を目指している。今年度は、昨年度見出した脂肪酸アミド生産菌からの酵素精製ならびに遺伝子クローニングを実施した。 まず、スクリーニングにより取得したMycobacterium sp. AKU 2014に由来する脂肪酸アミド合成酵素を特定するために、酵素精製を行った。AKU 2014株の無細胞抽出液から4段階のカラムクロマトグラフィーにより部分精製酵素を取得した。精製度は595倍、回収率は0.21 %であり、分子量はSDS-PAGE上で約41,000であった。目的酵素活性と連動するバンドをSDS-PAGEゲルから切り出して、アミノ酸配列を解析したところ、19残基まで配列を取得した。相同性検索の結果、当該酵素のN-末端アミノ酸配列は、データベース上のセリンプロテアーゼと類似性を示した。 次に、同定した酵素の組換え大腸菌における発現を試みた。データベースの情報をもとに、目的酵素をコードする遺伝子をPCRにより増幅し、発現用プラスミドに連結した。当該プラスミドを大腸菌に導入し、発現試験を行った。SDS-PAEG分析の結果、目的酵素が可溶性画分に発現していることが確認できた。また、酵素活性を確認したところ、オレイン酸からオレアミド、エルカ酸からエルカミドを合成する活性を認めた。このことから、AKU 2014株のセリンプロテアーゼ様酵素は、脂肪酸アミドの合成活性を有することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、スクリーニングで見出した菌株よりオレイン酸ならびにエルカ酸に対し、それぞれのアミドを合成する微生物酵素を特定した。さらに、当該活性を担う遺伝子のクローニングまで完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度見出した放線菌由来の脂肪酸アミド合成酵素を、組換え大腸菌において発現させるに至った。次年度は、容易に調製可能な組換え酵素を用い、酵素化学的諸性質の検討、ならびに脂肪酸アミドの生産プロセスの検討を行う。
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