研究課題/領域番号 |
21K05369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
梶川 揚申 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30646972)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 乳酸菌 / 運動性 / べん毛 / 免疫 / 腸内細菌 / 共生 / フラジェリン / TLR5 / 腸内共生細菌 / 宿主-微生物間相互作用 / 腸管免疫 / Ligilactobacillus agilis |
研究開始時の研究の概要 |
腸内の微生物と宿主免疫系との相互作用は腸管内の恒常性維持において極めて重要である。広く動物腸管に共生する有べん毛乳酸菌は、宿主免疫系に認識され得るべん毛抗原「フラジェリン」を持つにも関わらず、炎症応答を惹起しにくい。本研究では、腸内共生乳酸菌のべん毛およびフラジェリンがどのように免疫系からの認識および炎症応答を回避しているかを分子レベルで明らかにすることを目的としている。実験においてはべん毛繊維を構成するフラジェリン単量体構造へのアプローチと、フラジェリンが重合したべん毛繊維の高次構造レベルでの解析を進め、それぞれの観点から免疫学的な特性を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究は、動物腸管に共生する運動性乳酸菌が、宿主免疫系に認識され得るべん毛抗原「フラジェリン」を持ちながらも炎症を誘導することがない理由を分子レベルで明らかにすることを目指したものであった。筆者らは、組換えタンパク質や組換え乳酸菌を用いた実験により、運動性乳酸菌がもつフラジェリンの免疫学的な低応答性は、受容体認識部位における特定のアミノ酸残基が病原体由来のフラジェリンと異なることに起因していることを示した。また、運動性乳酸菌のべん毛繊維がフラジェリン糖鎖修飾により安定化していることも炎症応答を減弱する要因になり得ると考え、これを証明するための糖鎖修飾遺伝子欠損変異株を作製することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ヒトを含む動物の腸管に生息する乳酸菌のべん毛が腸管内で炎症を引き起こすことがない理由を探るものであった。乳酸菌は元々腸管内に生息するものや、発酵食品あるいはサプリメントとして積極的に摂取されるものもある。しかし、乳酸菌の安全性は経験的に知られているものであって、必ずしも科学的な根拠に基づいている訳ではない。また、近年では腸内細菌が想像以上に我々の健康に深く関わることが分かってきており、腸内細菌やそれに影響を与える乳酸菌について理解を深めることは重要な課題である。本研究は運動性乳酸菌が腸管内でどのように宿主との共生関係を築いているかを理解するうえで重要な知見を与えるものであった。
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