研究課題/領域番号 |
21K05373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (50510690)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ガラクトマンナン / ガラクトフラノース / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 糸状菌 / 細胞壁 / 抗真菌薬 / Aspergillus fumigatus / ガラクトフラノース転移酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
糸状菌の細胞壁表層を覆うガラクトマンナン (GM) は病原性真菌の感染機構や毒性の発揮機構に関与していると考えられている。申請者は長らく「謎」であったGM中のガラクトフラノース (Galf) 糖鎖合成初発酵素であるα-マンノシド β-Galf転移酵素 (MgfA) を発見した。本研究では,病原性糸状菌Aspergillus fumigatus由来Mgf ファミリー酵素の酵素機能と立体構造,各種遺伝子破壊株におけるGM構造を明らかにすることにより糸状菌のGalf糖鎖生合成におけるMgfファミリー酵素の役割の詳細を明らかにする。
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研究実績の概要 |
病原性糸状菌Aspergillus fumigatusの細胞壁構成多糖の1つである真菌型ガラクトマンナンの生合成酵素のうち、マンナン主鎖にガラクトフラノース残基を転移する酵素は不明であった。申請者は、この未知酵素が「ゴルジ体に局在する機能未知II型膜タンパク質の中にある」という仮説を立て、生物情報学、逆遺伝学および生化学を駆使したアプローチにより、α-マンノース残基にUDPガラクトフラノースを糖供与体として β-ガラクトフラノース残基を転移する酵素(MgfA)を見出した。昨年までの研究により、MgfAはα-マンノシド β-1,6-ガラクトフラノース転移酵素であることを明らかにした。また、MgfAを大量に精製し、結晶化を試み、良質な結晶を得ることが出来ていた。そこで、今年度は得られたMgfAの結晶を用いてX線結晶構造解析によるタンパク質立体構造の解明を試みた。その結果、0.8Åの解像度でタンパク質立体構造を明らかにすることができた。MgfAはマンガンイオン結合タンパク質であった。MgfAは、これまで多くの糖転移酵素において報告されているDXDモチーフとは異なる新規な金属結合モチーフによってマンガンイオンと結合していることが明らかになった。次に、Cre-loxP を利用した高効率マーカーリサイクリング法を用いることによりmgfAからmgfFまでの6重遺伝子破壊株(mgf6株)を構築した。さらに、β-ガラクトフラノシド β-1,5-ガラクトフラノース転移酵素であるgfsA、gfsBおよびgfsC遺伝子を破壊することでガラクトフラノース糖鎖の伸長を完全に抑制した株(mgf6gfs3株)を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題における大きな目標の1つであったMgfAのタンパク質立体構造を明らかにすることができた。また、2年目までに達成する予定としていたmgfAからmgfFの6重破壊株(mgf6株)を取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
構築した各単独遺伝子破壊株および6重遺伝子破壊株(mgf6株)およびガラクトフラノース糖鎖の伸長を抑制した(mgf6gfs3株)より真菌型ガラクトマンナンを精製し、ゲルろ過カラム,1H-NMR解析,13C-NMR解析およびメチル化分析に供することでMgfファミリータンパク質が真菌型ガラクトマンナンのガラクトフラノース糖鎖生合成における初発酵素であることを明らかにする。また、Mgfファミリータンパク質のO-マンノース型ガラクトマンナンの生合成への関与の有無も明らかにする。
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