研究課題/領域番号 |
21K05390
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
加藤 竜也 静岡大学, 農学部, 教授 (00397366)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | Ashbya gossypii / リボフラビン / フラビンタンパク質 / アセト乳酸合成酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,糸状菌 Ashbya gossypii 変異株のリボフラビン(ビタミンB2)過剰生産の原因を,リボフラビン生合成経路の代謝フラックス変化ではなく,遺伝子変異によるフラビンタンパク質の機能低下とそれを回復させるリボフラビンならびにその代謝物のシャペロン機能に焦点をあてて明らかにすることを目的とする。さらに得られた知見に基づいて,A. gossypii のフラビンタンパク質遺伝子に変異を導入し,新規リボフラビン過剰生産株の単離も目指す。
|
研究実績の概要 |
今年度は、前年度に見出したリボフラビン過剰生産変異株で比活性上昇が認められたフラビンタンパク質、グルタチオン還元酵素とアセト乳酸合成酵素に焦点を当てた。 まず始めに、グルタチオン還元酵素の阻害剤である2-アセチルアミノ-3-[4-(2-アセチルアミノ-2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニルアミノ)フェニルチオカルバモイルスルファニル]プロピオン酸をYD培地(1%グルコース、1%酵母エキス、pH6.8)に添加したところ、野生株において増殖、菌糸の色に変化がなかった。次にアセト乳酸合成酵素のフィードバック阻害剤であるバリン1 mMを最少培地に添加したところ、変異株の増殖が阻害され、液体培地での菌体当たりのリボフラビン生産量が、約50%減少した。このことからアセト乳酸合成酵素活性が、リボフラビン過剰生産株において生育とリボフラビン生産に関係していることが示唆された。 次に分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンすべてを1 mMずつ最少培地に添加したところ、菌糸の増殖が促進され、液体培地での菌体当たりのリボフラビン量が約2.4倍上昇した。この結果から分岐鎖アミノ酸がリボフラビン過剰生産変異株の増殖とリボフラビン生産に関係していることが示唆された。しかし、栄養培地(YD培地)に10 mMの3種類の分岐鎖アミノ酸をすべて添加した場合は、菌体当たりのリボフラビン生産量が上昇しなかった。 以上の結果から、リボフラビン過剰生産株ではアセト乳酸合成酵素活性が上昇するに伴い分岐鎖アミノ酸生合成量が増加して、リボフラビン生産量が増加していると推測された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リボフラビン過剰生産変異株のアセト乳酸合成酵素の比活性上昇について、変異に起因するのか、それとも細胞内の代謝変化など他の要因に起因するものなのか、現時点では確認できていない。変異アセト乳酸合成酵素の組換え体の調製が達成できておらず、研究はやや遅れているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
リボフラビン過剰生産変異株のアセト乳酸合成酵素の比活性上昇が分岐鎖アミノ酸生合成量の増加につながっていることを証明する。さらに分岐鎖アミノ酸生合成とリボフラビン生産との関係について、分岐鎖アミノ酸分解に焦点を当てて、研究を行う。 また、他のフラビンタンパク質とリボフラビン生産との関係について、フラビンタンパク質の普遍的な阻害剤であるジフェニレンヨードニウムを用いて、リボフラビン生産に関連するフラビンタンパク質を同定して解析する。
|