研究課題/領域番号 |
21K05437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
城 斗志夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00251794)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 乳酸菌 / イソフラボン / β-グルコシダーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者が植物性食材から単離した乳酸菌が産生するイソフラボン配糖体の糖を特異的に分解する酵素(β-グルコシダーゼ)の基質特異性の要因を、特に活性中心のアミノ酸残基の役割に焦点を当て解明するとともに、より配糖体分解能の高い酵素の作出を行う。大豆イソフラボンの大部分は吸収されにくい配糖体として存在し、吸収率の向上には腸内細菌が産生するβ-グルコシダーゼによる糖の分解が不可欠である。本研究の成果は、大豆イソフラボンの効能を高める機能性食品の開発につながり、人々の健康増進に大きな貢献が期待できる。
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研究実績の概要 |
大豆イソフラボンの大部分は吸収されにくい配糖体として存在し、吸収率の向上には腸内細菌が産生するβ-グルコシダーゼによる糖の分解が不可欠である。本研究は、申請者が植物性食材から単離したイソフラボン配糖体分解能が高い乳酸菌株Leuconostoc mesenteroides KM3を用い、この菌が産生するβ-グルコシダーゼの解析を通して配糖体分解能の高さの要因を解明するとともに、より配糖体分解能の高い酵素の作出を試みるものである。令和3年度はKM3における配糖体特異的β-グルコシダーゼの存在の解明を目的に研究を行い、同株が細胞内に配糖体特異的酵素を、細胞壁に配糖体非特異的酵素を産生することを示唆する結果を得た。 そこで令和4年度はKM3の細胞内画分から配糖体特異的酵素を、細胞壁画分から配糖体非特異的酵素を精製することを試みた。しかしながら、研究の途中より本来活性が高かったKM3の細胞内画分におけるイソフラボン配糖体(ダイジン)に対する酵素活性が低下してしまった。恐らく繰り返し菌を培養する過程で使用していた菌が変異を起こしたか、菌株の取り違えと推測される。やむを得ず、ストックのKM3や他の乳酸菌株からイソフラボン配糖体の分解能が高い菌の再スクリーニングを行った。その結果、高分解能の3菌株(KM3に加え、So1とPru1)、中分解能の3菌株(NAR4、Ret5、HKM5)、低分解能の3菌株(Mi、Sugy6-4、Seiji5-1)を得ることができた。KM3の配糖体特異的酵素と非特異的酵素の比較に加え、今回分離した分解能が異なる菌の酵素の比較はイソフラボン配糖体の分解機構に重要な知見を与えると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の研究途中でKM3の配糖体特異的酵素の活性が低下するという事態が生じた。そこで、研究実績の概要に記載の通り、菌のスクリーニングをやり直したため研究の進捗が遅れることとなった。 スクリーニングの結果、高分解能の菌株だけでなく、中分解能、低分解能の菌株も得られ、当初の目的に加えてそれらにおける酵素の比較も可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
次のように研究を推進する計画である。①当初の目的通りKM3が産生するイソフラボン配糖体特異的β-グルコシダーゼと非特異的β-グルコシダーゼを精製し、それらの基質特異性を含む酵素化学的性質の違いを明らかにする。②両酵素のcDNAクローニングによりそれらのアミノ酸配列を明らかにする。③活性中心と推定されるアミノ酸残基に部位特異的変異を導入して発現させることでその基質特異性におよぼすアミノ酸残基の役割を明らかにし、アミノ酸置換によりさらに配糖体の分解能の高い酵素の作出を試みる。④分解能が異なる乳酸菌株間で配糖体特異的酵素活性と配糖体非特異的酵素活性を測定し、分解能との相関を調べる。
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