研究課題/領域番号 |
21K05531
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
牛島 智一 摂南大学, 農学部, 講師 (50815058)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 転写開始点制御 / 光応答 / 細胞質局在型アイソフォーム / イネ / 環境応答 / 育種素材の開発 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは近年、植物が環境の変化に応答して転写開始点を変えることで、一つの遺伝子から細胞内局在の異なる複数のタンパク質を生じること明らかにした。また、当該制御機構により、多くの細胞質局在型アイソフォームが生じ、その中に光阻害の低減に働く遺伝子が存在することも明らかにした。しかし、ほとんどの遺伝子について機能は分かっていない。これらの細胞質局在型アイソフォームは植物の環境への適応に働くと考えられ、当該遺伝子の利用により、環境ストレス耐性の付与などが期待される。 そこで本研究では、イネの細胞質局在型アイソフォームを利用した新奇育種素材の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
我々は、植物の主要な光受容体であるフィトクロムが、シロイヌナズナにおいて、転写開始点を変化させることで、およそ400種類のタンパク質の細胞内局在が光依存的に変化することを発見した (Ushijima et al., Cell, 2017)。これらの標的のほとんどで、当該制御によりN末端のシグナル配列が失われ、機能未知の細胞質局在型アイソフォームを生じることが明らかとなった。また、それらの細胞質局在型アイソフォームの中に光環境への植物の適応に働く遺伝子があることを明らかにした。さらに、光依存的な転写開始点選択において、当該制御がシロイヌナズナのみでなく、イネやトマトにも存在することをすでに明らかにしており、当該制御機構が生物に普遍的に存在することを示唆した。 そこで本研究では、イネにおいて、光依存的な転写開始点制御によって生じる細胞質局在型アイソフォームの過剰発現体や欠損変異体を作成し、細胞質局在型アイソフォームの機能を明らかにし、当該遺伝子の育種素材としての評価を行うことを目的としている。 当該年度では、光依存的な転写開始点変化によって生じる短い転写産物由来のcDNAをクローニングし、機能未知の細胞質局在型アイソフォームを過剰発現させるためのコンストラクションを進めた。コンストラクションに供する遺伝子の選抜では、より確度の高い候補遺伝子を選抜するため、新規にゲノムワイドな解析を行った結果も利用した。また、ハイスループットに形質転換を行うための条件の検討を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
より確度の高い候補遺伝子を選抜するため、新規にゲノムワイドな解析を行った。その結果をもとに、候補遺伝子を選抜し、過剰発現用コンストラクションを進めている。過剰発現用コンストラクションを進める中で、一部の遺伝子において長いアダプター配列を利用することによるPCR効率の低下が認められた。その問題を解決するために、より高効率なDNAポリメラーゼの選定を行ったところ、PCRの正確性が低下した。そこで、現在は短いプライマーを組み合わせ、2段階でPCRを行うことで、概ね順調にコンストラクションを進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き細胞質局在型アイソフォームをコードする遺伝子のクローニングを進め、解析対象の遺伝子を網羅した形質転換体プールを作成する。作成した形質転換体を用いて、導入した機能未知の細胞質局在型アイソフォームの機能解析および育種素材としての評価を行う。さらに、本研究で構築したハイスループットな形質転換体の作成技術について、導入効率などを含め検証を行う予定である。
|