研究課題/領域番号 |
21K05562
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片山 礼子 (池上礼子) 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00549339)
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研究分担者 |
中野 龍平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70294444)
長坂 京香 京都大学, 農学研究科, 助教 (00931388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ブドウ / 品質改善 / ドライミスト / 温暖化 / 着色 / 成熟開始 / 成熟制御 / ベレゾーン |
研究開始時の研究の概要 |
果実の市場価値は、外見および糖度・酸度などの食味に依存するが、中でも着色は価格決定に重要である。ブドウの着色は、遺伝的背景をもとに、環境要因である光、温度、樹勢(施肥や剪定、潅水などの栽培管理により調節される)などが複雑に作用して決定されるが、特に近年では温暖化による影響を受けて高温による着色不足が問題となっている。本研究では、労働環境の改善はもとより果実の周囲温度を下げることで着色促進効果があるドライミスト装置を用いて、処理時期や品種による果実品質改善効果の違いを検証して栽培管理に必要な知見を得るとともに、これらの差異をもとに果実の成熟開始に関する生理学的知見を深めることを目的とする。
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研究実績の概要 |
果実の市場価値は、外見および糖度・酸度などの食味に依存するが、中でも着色は価格決定に重要である。ブドウの着色は、遺伝的背景をもとに、環境要因である光、温度、樹勢(施肥や剪定、潅水などの栽培管理により調節される)などが複雑に作用して決定されるが、特に近年では温暖化による影響を受けて高温による着色不足が問題となっている。本研究では、労働環境の改善はもとより果実の周囲温度を下げることで着色促進効果があるドライミスト装置を用いて、処理時期や品種による果実品質改善効果の違いを検証して栽培管理に必要な知見を得るとともに、これらの差異をもとに果実の成熟開始に関する生理学的知見を深めることを目的とした。 昨年に引き続き、京都大学附属木津農場植栽の7 年生根域制限樹の赤色系品種(成熟後期に着色の進まない‘安芸クイーン’、‘ゴルビー’と着色が比較的良好な‘クイーンニーナ’)にパナソニック製のドライミストで試験区を変えて処理を行った。なお、昨年は着色開示時期が梅雨にあたり雨天・曇天が多く、ミスト処理の効果が認められなかったため、本年度は温湿度制御装置を新たに設置した。また、別棟の‘シャインマスカット’にもいけうちの温湿度制御が可能なミスト装置を新たに設置し処理試験を行った。両棟のミスト処理により、晴天時の温度低下が可能になったものの、どの品種においても対照区と比較して果実の品質向上効果は得られなかった。これは、果実の着色に重要とされるベレゾーン前後が京都では梅雨にあたり、曇天が続きミストの効果が得られにくいことに起因すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
赤色系品種‘安芸クイーン’、 ‘ゴルビー’と ‘クイーンニーナ’、および‘シャインマスカット’に温湿度制御装置(湿度80%以下、温度27度以上で作動)があるミストを設置し、ベレゾーン10日前、六月中旬より作動させたが、梅雨時期にあたり木津では作動基準に達しない日が多かった。降雨が多い年にはミストの効果が得られにくい上に、京都においてはあるいは着色重要な時期である梅雨にはミスト処理の効果は特に得にくいと結論した。本試験については効果がなかったため、当初計画した諸解析は行わないこととした。 代わりに果実の着色に注目し、’藤稔‘やその実生’ルビーロマン’において果実成熟後期の着色が比較的良好であるという形質の由来を探索するために、大阪府立環境農林水産総合研究所に依頼し、四倍体大粒系品種の親品種である’石原早生‘や’カノンホールマスカット‘、いくつかの二倍体アメリカブドウ品種など計12品種を経時的に採取し、その着色パターンや良好な着色と関連すると考えている内生ABA含量を調査した。結果その由来は’キャンベルアーリー‘や’石原早生’にあると推察し、後期に着色が進まない‘巨峰’、‘安芸クイーン’、‘ゴルビー’や‘クロシオ’においては、ベレゾーン後比較的早く内生ABA含量が漸減することが明らかとなった。 また、別試験としてべレゾーン前の果実成熟開始のキーファクターを探すために、‘シャインマスカット’を用いた一粒サンプリング(一粒毎に、硬度を測定するとともに、糖、酸などの代謝産物、RNAseqなどを行い統計的に果実のステージ毎の変化を解析する)を始めた。今年は、主に音響装置を用いた硬度測定を試みたが、無核処理をしたべレゾーン前後の‘シャインマスカット’では内果皮の中心部分が空洞となっているものなどが存在し、本時期では音響装置は硬度の非破壊判定には不適と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023にはミスト処理は行わずに、昨年から始めたブドウの成熟後期で着色および内生ABA含量が高いという形質の由来や遺伝様式の解析を大阪府立環境農林水産総合研究所などの機関から材料を提供していただき進める予定である。 また、果実成熟開始のキーファクターを探すために、‘シャインマスカット’を用いた一粒サンプリングについても引き続き調査を行う。2022年はベレゾーンが10%程度である日に10房を、京都府立大学生命環境学部不附属農場にて一日で採取し行ったが、2023年はべレゾ―ン10日前ごろから、2,3日おきに20粒ずつを5,6回京都大学木津農場にてサンプリングし、レオメータにて破壊硬度、糖、酸、植物ホルモンなどの代謝産物をLCやLC-MS/MSにて測定し、予算が許せばRNAseqを行う。
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