配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
フルーツ香の起源を探る中で,2023年度には,一部の品種に他のバラにはないにおいを見いだした.シトラス様の香りの中に古いタンスのにおいを彷彿とさせる甘い木質様の異臭を持つ‘Anne-Marie de Montravel’(Rosa multiflora Thunb.を祖先とするPolyantha系統の初期品種)の香気成分をGC-MSにて解析した.テルペノイド,ベンゼノイド,炭化水素ともに,脂肪酸誘導体であるmethyl (E, Z)-2,4-decadienoate (MDD) およびmethyl (E, E, Z)-2,4,6-decatrienoate (EEZ-MDT) が同定され, EEZ-MDTの立体異性体が5種検出された. MDD, EEZ-MDTはカメムシのフェロモンとして知られている.それらの脂肪酸誘導体が検出されたのは,バラはもとより植物の香りとして初めてである.におい嗅ぎ分析により,異臭の原因物質はEEZ-MDTとその異性体であることを明らかにした. 3年間の研究期間内に,フルーツ香の品種およびそれらの祖先となる品種,野生種を中心に,約500種のバラの発散香気成分を解析した.研究開始当初は,文献の情報からフルーツ香は1940年代より生じたと推定していたが,1800年代の古いバラにもフルーツ香を持つものを見出した.2021年度には香気成分の枝変わり品種を見出し,2022年度にはフルーツ香の香りのバラの祖先種の一つであるR. foetidaから不快な香りの原因となる脂肪酸誘導体の2,4-デカジエナール, 2,4-デカジエノールをバラから初めて見出した. データベースについては,フルーツ香の起源の論文執筆と並行して現在作成中である.
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