研究課題/領域番号 |
21K05587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
立木 美保 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (10355381)
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研究分担者 |
八重垣 英明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主席研究員 (00355372)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | モモ / オーキシン / 軟化 / 硬肉モモ / DNAメチル化 / 果肉硬度 |
研究開始時の研究の概要 |
硬肉モモの形質は、YUCCAの5'上流域におけるトランスポゾン挿入の有無に一致する。近年、硬肉モモの中に軟らかめのモモが見つかっている。これらのモモはYUCCAの発現レベルが若干上昇していると推測される。硬肉モモにおけるYUCCAの発現抑制には、トランスポゾンの挿入によるDNAメチル化等が関わると考えられる。そこで、YUCCAの発現抑制機構解析により軟らかめの硬肉モモの原因因子を明らかにする。
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研究実績の概要 |
硬肉モモは果実成熟期に達しても、糖度の上昇や酸の減少は認められるにも関わらず、軟化しない。これまでに、硬肉モモでは、果実成熟期にオーキシン生合成に関する酵素であるYUCCA(PpYUC11)の発現が上昇しないため、IAA生合成量が増加せず軟化しないことを明らかにしている。また、YUCCAの5’上流域においてトランスポゾンが挿入することで発現抑制がおこり、挿入をホモで持つ場合に硬肉の性質を示すことが明らかとなっている。硬肉の発現抑制とトランスポゾンの関与を明らかにするために、トランスポゾン周辺部のメチル化程度についてバイサルファイトシークエンスを行った。その結果、トランスポゾンおよび周辺部におけるメチル化程度が明らかとなった。硬肉モモには、普通の硬肉モモより、やや軟化する「軟らかめの硬肉モモ」が見つかっている。軟らかめの硬肉モモには、YUCCAにおけるトランスポゾンの挿入および発現抑制は確認できるが、ややエチレン生成が起こり、果肉硬度も若干低下する。今年度は、軟らかめの硬肉モモの要因となる因子を探索するため、RNA-seq解析を行った。その結果、硬い硬肉モモと軟らかめ硬肉モモにおける遺伝子発現の違いから、幾つかの転写因子や酵素をコードする遺伝子が選抜された。これらの転写因子によって、エチレン等軟化に関与する遺伝子発現を制御する可能性も考えられた。また、これらの候補因子によりYUCCA発現だけでなく、モモの硬さに影響を及ぼす可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硬肉モモにおけるYUCCA発現抑制には、トランスポゾンの挿入やメチル化が関与することが明らかとなった。今年度RNA-seq解析を行ったことで、軟らかめの形質に関わると推測される因子の候補を幾つか選抜することができた。選抜後、それぞれの因子の機能とモモの硬さへの影響についての研究を行っており、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
選抜した候補因子について、RNA-seq解析に用いなかった様々なモモ品種、果実ステージ、植物ホルモン等の処理における発現パターンを明らかにする。それらの解析を通じて、特に関与が強く示唆された因子について、DNAとの結合活性や果肉における一過的な発現抑制や過剰発現の系により、機能を推定し、モモの硬さとの関わりについて考察する。
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