研究課題/領域番号 |
21K05618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
吉賀 豊司 佐賀大学, 農学部, 教授 (00312231)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 自然免疫 / 昆虫 / 線虫 / 血球 / 包囲反応 |
研究開始時の研究の概要 |
線虫において寄生が進化してきた背景として、線虫に共通する、免疫を回避するための基盤的機構の存在が考えられる。本課題ではこの機構を解明するため、モデル線虫Caenorhabditis elegansの変異体をスクリーニングすることによって線虫側の宿主免疫からの回避に関する遺伝子の探索を行う。また、宿主としてチョウ目昆虫を用い、昆虫の線虫に対する反応を生化学的・分子生物学的手法によって解明することによって、宿主と寄生者の相互作用を理解しようとするものである。
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研究実績の概要 |
寄生する生物において、宿主免疫の回避が寄生成立の際に最も重要な要因の一つである。そのため様々な寄生生物は、独自に免疫回避・抑制機構を進化させてきた。線虫の中には動物、植物、昆虫など、様々な生物に寄生するものが存在し、独自の進化を遂げてきた。昆虫に寄生する線虫は自由生活性の線虫から進化してきたと考えられるものがいるが、どのように宿主免疫を回避・抑制しているのかが不明な点が多い。獲得免疫を有さない昆虫では血球が免疫において大きな役割を果たすことが知られているが、線虫はどのように昆虫の血球による免疫を回避しているのか明らかになっていない。そこで本研究では、血球による異物認識と線虫による昆虫宿主からの免疫回避機構についての解明を目指すものである。 チョウ目昆虫では、大型の異物に対して顆粒細胞やプラズマ細胞が包囲することによって無毒化することが知られているが、顆粒細胞がどのように線虫を異物認識するのかは不明である。当初利用していたアワヨトウの代わりに、カイコを用いて実験系の確立を試みた。その結果、カイコにおいて線虫が包囲化されることを確認するとともに、カイコの発育ステージや生育状態によって線虫に対する異物認識が大きく異なることが明らかとなった。また昆虫病原性線虫の無菌培養系について検討を行い、無菌の昆虫病原性線虫の感染態幼虫を作出した。 昆虫の細胞性免疫に対して異なる反応を示すC. elegansの変異体スクリーニングについても様々な条件検討を行い、カイコ及びハチノスツヅリガ幼虫を用いてスクリーニング方法の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カイコの発育ステージごとでの線虫に対する包囲化反応について検討した。その結果、カイコのステージやエサ状態によって血球の反応が異なることがわかった。そこで、血球の反応が異なる条件についてさらに詳細に検討し、その原因について解明を進める。 また昆虫病原性線虫の無菌培養系について検討を行い、無菌の昆虫病原性線虫の感染態幼虫を作出した。昆虫の細胞性免疫に対して異なる反応を示すC. elegansの変異体スクリーニングについても様々な条件検討を行い、カイコ及びハチノスツヅリガ幼虫を用いてスクリーニング方法の検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
血球による異物認識に対する線虫の阻害機構の解明のため、カイコを用いたin vitroアッセイ系の構築を進める。 C. elegansをカイコに注入し、その後の遺伝子発現の変化についてRNA-seqに よって解析する。特に、線虫に対する異物認識として重要だと思われる血球における遺伝子 発現の変化を解析する。 引き続き、昆虫の細胞性免疫に対して異なる反応を示す線虫C. elegansの変異体のスクリーニングを行う。通常はC. elegansはハチノスツヅリガでは包囲化されないが、ハチノスツヅリガでも包囲される変異体や、カイコにおいて包囲化されない変異体などを得ることで、昆虫の血球反応に対する線虫側の因子の解明を進めていく。
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