研究課題/領域番号 |
21K05626
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
後藤 寛貴 静岡大学, 理学部, 助教 (60737899)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 性的二型 / クワガタムシ / 性決定機構 / 甲虫 / transformer / doublesex |
研究開始時の研究の概要 |
完全昆虫において、transformer という遺伝子が「メス化」を誘導する遺伝子として知られている。研究代表者は、ノコギリクワガタにおいて、オスでもメス化遺伝子transformerが発現していることを発見し、「なぜメス化遺伝子を発現しながら正常なオスへと発生できるのか」という疑問について、主に分子生物学的手法を用いて研究する。
|
研究実績の概要 |
本課題では、メス化遺伝子として知られるtransformer 遺伝子の性決定カスケード中の役割とその多様化について研究する。通常、この遺伝子は性特異的な選択的スプライシングによって、メスのみで機能的なTraタンパクを発現しメス化を誘導する。一方、オスでは非機能的なタンパクしか発現せず機能を持たない。しかし研究代表者はクワガタムシ科の一部の種において、雌雄の両方で同じ機能的なTraが発現することを見出し、オスでは機能的なTraを発現しているにもかかわらず、正常にオスへと分化する機構の解明に取り組んだ。
2023年度は、クワガタムシ科において雌雄で同一のtraアイソフォームを発現する種が、対照としているオキナワノコギリ以外にも存在している可能性を検証した。具体的には、クワガタムシ科内で様々な系統的位置を持つ複数種においてRNA-seqを通した発現遺伝子カタログを作製し、それに基づいて、それぞれの種で雌雄でtraの発現解析を行った。その結果、雌雄同一のアイソフォームが発現する種がオキナワノコギリ以外にも複数存在することが明らかになった。それらの種はクワガタムシ科の系統内に散在しており、同一アイソフォーム発現の進化は独立である可能性が示唆された。さらに特定の種において機能解析を行った結果、驚くべきことにtraがオスにおいても発生学的な機能を有する可能性が示唆された。つまり、オスで機能的なTraを発現しているにもかかわらず、正常にオスへと分化する機構として、Traが制御する下流の標的制御因子が変化している可能性が示唆された。
|