研究課題/領域番号 |
21K05645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
山下 由美 福島大学, 共生システム理工学類, 客員准教授 (30792543)
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研究分担者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
山下 俊之 奥羽大学, 薬学部, 教授 (90192400)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ラン科植物 / 共生菌 / 自生地播種 / 保全 / 種子発芽 / 絶滅危惧種 / 発芽生態 / 生息域内保全 |
研究開始時の研究の概要 |
日本産ラン科植物の約60%は絶滅危惧種であり、保全技術の確立が急務である。しかし、散布された微細種子や幼若個体の地中での観察が困難で、保全に不可欠な種子繁殖特性や幼若期の共生菌多様性がほとんど明らかになっていない。この「ブラックボックス」を解明するために本研究では、ラン科の主要な生育立地である林床、草地、湿地、樹上に自生する種を選抜し、それぞれの立地に適した播種および幼若個体調査の技術体系を構築する。さらに、微小な幼若個体からターゲットとする共生菌を高精度で同定する手法を確立する。一連の試験により複数種の絶滅危惧種の発芽生態を解明し、生息域内保全・野生復帰の成功率を格段に向上させる。
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研究実績の概要 |
日本産ラン科植物の約60%の種は絶滅危惧種に指定されており、保全技術の確立が急務である。しかしながらラン科の種子は微細なため、散布された種子や幼若個体の地中での観察が困難で、保全に不可欠な種子繁殖特性や幼若期の共生菌多様性が、ほとんどの種において明らかになっていない。これらの「ブラックボックス」を解明するためには、さまざまな立地において初期成長を継続観察する手法の確立と、幼若個体共生菌の分子同定技術の改良が必要である。今年度は各地でラン科の代表的な生育立地である1. 林床の種としてクマガイソウ(環境省絶滅危惧II類)、イイヌマムカゴ(同IB類)、シロテンマ(同IA類) 類)、モイワラン(同IA類)、2. 湿地の種としてサワラン、トキソウ(同準絶滅危惧種)、サギソウ(同準絶滅危惧種)、カキラン)、3. 樹上の種としてセッコク、フウラン(同II類)、カヤラン、クモランなどの播種試験を継続し、一部を回収して共生菌の解析を行った。また、既に予備的に播種試験を行っていたクマガイソウの種子袋を回収し、発芽した種子(プロトコーム)から単離した共生菌培養株を用いて共生発芽実験を開始した。発芽効率の極めて悪いこの種の播種時に分離菌株を添加することによって発芽率を向上させ、より効率的な保全法を確立できる可能性を追求する。また、プロトコームからDNAを抽出し菌のバーコーディング領域であるrDNAのITS領域を増幅し、分子同定するためのプライマーをさらに改良し、塩基配列決定効率を上昇させる試みも行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自生地播種試験はいくつかの地点で開始することができている点で計画は順調に進展しているが、初年度は特に新型コロナウイルス感染拡大の影響で地方への出張が制限され、播種試験を行うことができなかった種や場所があった。2年度は出張制限などの状況が好転したのでそれらの地点での自生地播種試験を開始し、いくつかの地点で播種パケットの回収も進め解析を行った。次年度以降にさらに播種と回収・解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降もラン科の主要な生育立地である林床、草地、湿地、樹上様々な立地で播種試験を継続する。環境に応じた播種および幼若個体調査の技術体系を構築するために、さらに多くの種を用いて播種試験を継続し、それそれの立地に応じた最適な方法(種子を固定する資材や方法、土壌水分や栄養をコントロールする 方法などの技術改良に取り組む。また、発芽が見られた種の発芽共生菌を積極的に単離・培養してこれらを用いた種子+共生菌同時播種法を開発し、自生地播種による発芽効率の向上を検討して、保全への応用可能性を探る。単離した共生菌の分子同定効率の向上にもさらに取り組む。
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