研究課題/領域番号 |
21K05649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
黒田 乃生 筑波大学, 芸術系, 教授 (40375457)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 重要文化財 / 古茅 / 名所図会 / 茅葺き民家 / 文化財 / 人倫訓蒙図彙 / 入母屋 / 社寺 / 草葺 / 街道 / 茅葺 / 浮世絵 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近世から現代までを対象に、茅葺の建物が何を表象していたのかを明らかにする。まず、茅葺の建物があたりまえだった近世において名所図会と浮世絵にどのように描かれているか把握する。次に、近代から現代までは関連する文献資料から茅葺の建物が何を表象してきたのか、変遷を明らかにする。最後に茅葺の建物の文化財修理工事報告書から屋根葺きの技術、茅の調達について変遷と実態を把握する。以上から茅葺の建物の継承のあり方を検討するための基礎的な知見を得る。
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研究実績の概要 |
2023年度は国指定重要文化財の茅葺き建物のデータベースを作成した。その結果、366件433棟の指定が確認された。種別では近世以前の民家が最も多く273棟と過半数を閉めた。次に近世以前の寺院97棟だった。時代区分を見ると、江戸期が321棟と最も多かった。最も古いものは平安後期とされる高蔵寺阿弥陀堂(宮城県)、月輪寺薬師堂(山口県)、新しい昭和期は4棟で住居、商業用、別荘建築だった。都道府県別に見ると19棟の栃木県が最も多く、18棟が神奈川県、山梨県、新潟県、大阪府だった。0棟は沖縄県、三重県だった。 修理工事報告書で確認できた古茅の利用については延べ茅(勾配を調整するための茅)に再利用すると記されたものが30件以上(n=164)、捨茅と書かれたものは3件あった。肥料と書かれたものも1件あった。使える茅については何らかの形で利用するが屋根材以外の利用はほとんどないと考えられる。 種類や山茅が最も多く106件(n=172)、ヨシが16件あった。ヨシはよし、葦、アシ、海茅、浜茅などさまざまな名前が使われていた。また富山県の合掌造りでは小茅、茨城県や埼玉県では島茅など地方による特徴も見られた。さらに、福島県で「スゴロ」、大分県で「スグリ茅」の記載があった。社寺など特別な建物の屋根に使うために、茅を「すぐった」もの、あるいは質の良い茅を特別に栽培したものと考えられる。 作成したのは重要文化財のみのデータベースであり、重要伝統的建造物群保存地区、登録有形文化財にはより多くの茅葺き建物があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベースの作成に当初の予定より時間がかかっため、研究成果の発表に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、2023年度までの成果を学会等で発表することが課題である。
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