研究課題/領域番号 |
21K05650
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 達明 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (40178322)
|
研究分担者 |
高橋 輝昌 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (20291297)
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (70543437)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 森林風倒害 / 台風 / レジリエンス / マテバシイ林 / 照葉樹林再生 / 風倒耐性 / サンブスギ林 / ランドスケープ / 森林風倒災害 / 里山 / 暴風台風 / 生態系ディスサービス |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動による超暴風台風の増加に備えて、令和元年房総半島台風被害を中心に里山の森林風倒災害と対策のあり方について研究する。ランドスケープ・林分・単木の各スケールで倒伏被害を把握し、気候・地形ハザード、生態系の脆弱性、資産の曝露の観点から抽出したリスク要因との関係を調べる。また、暴風台風の来襲頻度の高い沖縄において森林の状況を調べ、暴風に対する森林のレジリエンスについて比較検討する。以上の研究から、森林・樹木風倒リスクを検討するツール(i-Tree Windthrow)を開発する。風倒被害の回復・森林の再生に関してモニタリングし、森林タイプと被害状況および対応措置に応じた森林の回復力を評価する。
|
研究実績の概要 |
マテバシイとモチノキとイスノキの各供試木について風速と幹の歪みの継続測定を行い、強風時の風速と風荷重の関係とその関係に及ぼす樹冠水平投影面積や葉面積の効果、林分の形状の効果を評価し、抗力係数について検討した。継続測定後、供試木を伐倒して幹試料を採取し、曲げ試験を行なって曲げ応力と歪みの関係を調べ、曲げ強さを評価した。これらより、それぞれの樹種の幹折れリスクについて評価した。 その結果、モチノキは曲げに弱い一方で、枝葉がしなりやすく風荷重を逃しやすいこと、イスノキは曲げに強い材質であり、それぞれ幹折れしにくいことがわかった。一方、マテバシイは幹の太さに対する葉面積が大きく風荷重が大きいこと、曲げに強い材質の一方で靭性係数が小さく曲げ仕事量が小さいため、大きな瞬間風速に弱く、幹折れしやすいことがわかった。 また、単木状態に比べて、林分状態では、林縁で同じ風力の風を受けていても、幹の歪みが小さくなること、林内では風力が減じて、さらに幹の歪みが小さくなることがわかった。 千葉県立大房岬自然公園のマテバシイ風倒地に2021年に設定した再生試験地の成果を調査した。常緑樹実生の成立密度が最も高かったのは倒木除去植栽区1.01本/㎡で、次に高いのが倒木残置植栽区0.65本/㎡だった。前者の半数は天然実生だったが、後者は3割程度と天然実生は少なく、植栽実生の成長量も小さかった。倒木残置萠芽除去区の実生成立密度は0.46本/㎡だったが、天然実生の成立本数は倒木残置植栽区と同様だった。倒木残置放置区の実生成立密度は0.32本/㎡と最も少なかった。倒木除去と苗木植栽および維持管理の手間をとった処理区で最も成立本数が多かったのは当然だが、萠芽除去を行っただけの処理区でも同様の天然実生の成立があり、マテバシイ林を在来樹種林に転換する省力的な方法として有望なことを示している。
|