研究課題
基盤研究(C)
近年,2018年大分県耶馬溪町,2017年九州北部豪雨に見舞われた大分県日田市,2015年鹿児島県姶良カルデラなど,火山性地質の地域において,雨がやんでから,あるいは無降雨時に規模の大きな崩壊が発生し,甚大な土砂災害が引き起こされている。本研究の目的は,従来の地形に基づく危険箇所抽出と降雨に基づく警戒避難対応に渓流水や湧水などの水文情報を加えて防災・減災効果を高めることである。具体的には,渓流水の流量や電気伝導度を測定して地下水の集中箇所を抽出し,深い地下水が関与した大規模な崩壊の発生危険箇所を抽出し,そこでの湧水流量をリアルタイムで監視して崩壊発生の警戒避難対応策を提案する。
近年,気候変動等の影響による記録的な大雨の増加に伴って,深層崩壊に代表される深い地下水が関与した大規模な崩壊(地下水型崩壊)が目立っている。本研究では,渓流水の比流量を測定して,地下水の集中箇所を「流域」→「斜面」のように段階的に絞り,地下水型崩壊の発生危険箇所を抽出する簡易な調査法を開発した。さらに, 抽出した地下水集中箇所において,湧水を監視する装置で湧水流量から崩壊発生の危険性を判断する手法を提案した。
本研究は,地下水型崩壊の危険箇所抽出と警戒対応について水文学的アプローチで取り組んだものである。地形条件に基づいた土砂災害発生の恐れがある区域指定に地下水集中という水文条件を加えることは区域指定の精度を高める。また,土砂災害警戒情報は降雨ピークで発生することが多い表層崩壊を対象にしており,降雨後に発生することがある地下水型崩壊は含まれていない。湧水監視は地下水型崩壊が発生しやすい地域の防災対策を向上させる。
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