研究課題/領域番号 |
21K05705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小堀 光 静岡大学, 農学部, 准教授 (20612881)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 食材性昆虫 / フラス / 木質複合材料 / マテリアル利用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、木部に穿孔する様々な食材性昆虫の残渣(糞やフラス)から、セルロースナノファイバーをはじめとする木質複合材料の原料として利用可能な機能性を有するものを探索し、将来的な木質バイオマス利用体系の革新を目指す。残渣の表面構造、主要構成成分、原料(食樹)や産生速度の評価を通じて、将来のマテリアル利用に応用可能な種類をデータベース化し、これを原料とした木質材料の試作を行う。食材性昆虫は自然界においては木質バイオマスの物質循環に重要な役割を担う一方で、林産業界にとっては経済的損失を与える害虫として認識されていたが、本研究により食材性昆虫や食害を受けた木質バイオマスに新たな産業的価値を創出する。
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研究実績の概要 |
広葉樹および針葉樹に広く穿孔するマルクビケマダラカミキリTrichoferus campestris幼虫が産生したフラスについて、その形態的・化学的組成の評価を穿孔材ごとに評価した。穿孔樹種や幼齢によりフラスのサイズは影響を受けるものと考えられるが、タラノキを母材としたものでは90 μm~180 μmのフラスが半数を占めることが明らかとなった。一方、走査型電子顕微鏡による観察では、多くのフラスは単一の粒子ではなく複数の繊維や剥片状の粒子が凝集しており、部分的に直径数百 nm程度の繊維状の毛羽立ちが認められた。穿孔部位である辺材部と幼虫が産生したフラスのホロセルロース量を亜塩素酸法に基づいて定量したところ、タラノキにおいては辺材部の平均ホロセルロース量が91.29% であったのに対し,フラスの平均ホロセルロース量は78.58% と有意に低かった (p < 0.05)。このことから、マルクビケマダラカミキリ幼虫はホロセルロースを分解していることが示唆された。フラスと辺材の近赤外拡散反射スペクトルを比較すると、ヘミセルロースに関連する1172 nmの吸収とセルロース準結晶領域に関連する1480 nmの吸収ピークに変化が認められた一方で、セルロース結晶領域の吸収やリグニンに起因する吸収ピークに大きな違いは見られなかった。このことから、マルクビケマダラカミキリの幼虫はヘミセルロースやセルロースの一部は分解できるが、結晶性のセルロースやリグニンは分解しにくいことが考えられた。結果、マルクビケマダラカミキリの幼虫が産生するフラスはリグニンや結晶性セルロースの占める割合が辺材部に比べて大きく、辺材そのものに比べて疎水性であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では多数の種類の食材性昆虫のフラスについて調査する予定であったが、各種計測を実施するために必要な分量のフラスを確保することが非常に困難であるため、広食性かつ乾材穿孔であるマルクビケマダラカミキリに種を絞って分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマルクビケマダラカミキリを主として、数種類の一次穿孔・二次穿孔性の食材性昆虫のフラスの形態・化学成分分析およびフラス生産効率の評価を行う。当初予定では複合材料の試作に取り掛かる予定であったが、得られるフラスの量によっては複合材料の試作は断念し、別の形態の試作を行う可能性がある。
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