研究課題
基盤研究(C)
魚病ウイルス(特許申請前につきウイルス名秘匿)に対し、大腸菌発現ウイルス様粒子(VLPs: Virus-like particles)ワクチンを開発する。申請者らは既に本VLPsの大腸菌発現に成功しているが、製造販売承認に向け、その生産レベル向上を目的とした精製法確立や物性・生化学的解析を進めると同時に対象魚を用いたワクチン試験を実施する。さらに、上記VLPsの分子構造的特性に着目し、本来VLP形成が困難な他の魚病ウイルスに対し、VLPsを模倣した粒子状構造(「疑似ウイルス様粒子(Pseudovirus-like particles: PVLPs)」)開発の技術基盤を構築する。
魚病ウイルス(特許申請前につきウイルス名は秘匿としています)に対して、大腸菌発現によるウイルス様粒子(VLP)ワクチンを開発した。まず、VLPワクチンの発現条件および精製方法を検討し、その最適条件および方法を見出した。また、VLPワクチンに分子改変を施すことで、その発現レベルが向上した。これらVLPワクチンおよび分子改変VLPワクチンを試験魚に投与後、ウイルス攻撃試験を実施した結果、これらワクチンは高いワクチン機能を示すことが確認された。さらに、本VLPワクチンの特性を活かし、他のウイルス抗原を表層提示する技術(「疑似ウイルス様粒子(PVLP)」)の技術基盤を構築した。
現行の魚病ワクチンの多くは不活化ワクチンであり、株化細胞等で増殖させ、ホルマリン等で不活化するために高価になりがちである。しかし、我々が開発中のVLPワクチンは、大腸菌発現系で大量に製造が可能なため、製造コストを大幅に抑えることができ、これまでコスト的な問題で適応が難しかった多くの魚種や海外での使用拡大が可能となる。また、組換えワクチンとしてVLP形成が困難な病原性ウイルスに対して、本VLPワクチンの特性を活かし、そのウイルス抗原を本VLPワクチンの表層に提示することでPVLPとし、免疫原性を高めることが可能となる。高い免疫原性を示すVLPやPVLP技術はワクチン開発において非常に有用である。
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Vaccine
巻: 42 号: 7 ページ: 1757-1767
10.1016/j.vaccine.2024.01.102
Protein Expression and Purification
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