研究課題/領域番号 |
21K05734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 高知学園大学 |
研究代表者 |
田口 尚弘 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (80127943)
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研究分担者 |
久保田 賢 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (00314980)
目崎 拓真 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 研究所長 (20840482)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | FISH / CGH / 蛍光ハイブリダイゼーション / 造礁性サンゴ / 比較ゲノムハイブリダイゼーション / 蛍光in situハイブリダイゼーション |
研究開始時の研究の概要 |
造礁性サンゴの分類において,遺伝子を指標とした分子分類と従来の形態観察による分類との多くの不一致が指摘され,分類の再整理が次々と行なわれている。これまでに蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法を駆使して形態分類および分子分類に続く第3の種判別の指標として染色体分析法の有用性を立証しており,本研究では,これまでに得られた染色体分析手法の改良や観察結果の蓄積に基づき,造礁性サンゴの簡便な種判別法の確立を目的する。
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研究実績の概要 |
本年度は,2種のゲノムDNAを異なる蛍光色素で標識したゲノムDNAプローブを等量混合し,染色体標本へ競合的に反応させるCGH (Comparative Genomic Hybridization) 法により,属内の類似性の高いミドリイシ属サンゴのゲノムDNAの種間差の相違が検出できるか検証した。 クシハダミドリイシ(クシハダ)を染色体標本に使用し,クシハダとの相違を検出する種として,エンタクミドリイシ(エンタク)を比較種として使用した.精子から調製したゲノムDNAプローブについて,クシハダは赤色,スギノキとエンタクは緑色の蛍光色素で標識し,CGH法を用いた染色体観察を行った。 2種のゲノムDNA上に存在する繰り返し配列の共通性が高いことを示す黄色の強いシグナルが,全ての染色体の動原体で観察された.クシハダ特有の繰り返し配列の存在を意味する赤色だけの強いシグナルは観察されなかったが,約20%の細胞において,1本の染色体上のみで緑色の強いシグナルが観察された.その位置には弱いながら,赤色のシグナルも観察された.エンタク標本でも,クシハダ標本と同様なシグナルが観察された. 2種間の繰り返し配列の共通性が高いことを示す黄色の強いシグナルについては,クシハダとエンタクの間で,動原体に存在する繰り返し配列に違いはないと考えられた.クシハダDNAプローブの赤色のシグナルに対して,エンタクの緑色のシグナルが強く観察された理由については,染色体上のその位置に存在する繰り返し配列のコピー数が多いためと予想された.また,1本の染色体でのみ観察された理由については,相同染色体の間で,繰り返し配列のコピー数の差によるものと推測された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主題である染色体解析によるミドリイシ属の簡便な種判別法の開発に向けた,染色体標本の保存について解析が可能であることが確認できていることや2種のミドリイシ属サンゴの群体から調製したゲノムDNAを用いたCGH法により,種間差が観察されたことなどから,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
CGH法を用いた染色体観察によって,種間差が検出されたものの,1.比較種(エンタク)の方でのみシグナルが検出されたこと,2.すべての細胞でなく20%の細胞でのみ検出されたことおよび3.相同染色体の片方にだけそれが検出されたことなど,予想とは異なる結果が得られた。 このことから,染色体標本およびCGHに用いるゲノムDNAについて,2023年夏の産卵期に新たな資料を採取して調製し,より多くの組み合わせで解析を行ない,種間差のパターン化を図るとともに,予想外の結果が生じた理由について考察を試みる予定である。
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