研究課題/領域番号 |
21K05742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター |
研究代表者 |
永田 貴丸 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 専門研究員 (50454624)
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研究分担者 |
酒井 陽一郎 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (90772335)
岡本 高弘 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 環境監視部門, 主任専門員 (70508473)
坂本 正樹 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20580070)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ミジンコ / 摂餌機能 / 餌環境 / 生産量 / 琵琶湖 / 機能的応答 |
研究開始時の研究の概要 |
魚の餌であるミジンコは、餌の藻類の量や質が低下すると、摂餌器官の拡大や摂食速度を上昇させる。この摂餌器官や摂食速度の応答(機能的応答)は、摂餌を効率化させ、藻類の量や質(餌環境)の悪い条件において、生産量の維持に貢献すると予想される。 琵琶湖では、貧栄養化で藻類の総量が減り、ミジンコが食べづらい藍藻の割合が増加した。一方、優占種のカブトミジンコは、富栄養だった頃と同水準の現存量を保っている。そこで、現存量の維持には、機能的応答が効いているのではないかとの仮説を持った。本研究では、過去と現在でのカブトミジンコの生産量と餌環境の比較解析と、餌環境に対する機能的応答の解析により、その仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、餌藻類量が低下した現在の琵琶湖においても、カブトミジンコが、藻類量が比較的高かった1990年代と同水準の生産量を維持していることを明らかにした。また、琵琶湖のカブトミジンコは、諏訪湖の個体よりも藻類の量と質が低い環境に強く、その様な低藻類量・質の環境でも生産量を維持できることが分かった。これには、藻類量に応じて濾過スクリーン面積(摂餌器官)を柔軟に変化させる琵琶湖産カブトミジンコの機能的応答が貢献していると考えられた。本研究結果は、カブトミジンコの機能的応答が、個体の成長や生産だけでなく、現場の個体群維持にも大きく貢献することを明らかにした全く新しい知見である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミジンコ(Daphnia属)の濾過スクリーン面積(摂餌器官)の変化は、餌量に応じたものであると考えられており、餌質に対する変化はこれまで評価されてこなかった。本研究は、ミジンコの濾過スクリーン面積は、餌質自体に応じて変化しないが、餌量に応じた濾過スクリーン面積の変化は、餌質が高い(N:P比が低い)時にしか見られない反応であることを明らかにした。また、ミジンコの濾過スクリーン面積の変化が、現場での個体群サイズの維持に大きく貢献することを示した。これは、個体群生態学の発展に関わる新しい知見であり、ミジンコの濾過スクリーン面積が、餌環境(餌藻類量や質)の指標になり得ることを示すものである。
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