研究課題/領域番号 |
21K05766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 中国学園大学 (2022-2023) 帯広畜産大学 (2021) |
研究代表者 |
楠本 晃子 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授(移行) (60535326)
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研究分担者 |
石丸 克也 近畿大学, 水産研究所, 講師 (00330241)
中井 敏博 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 名誉教授 (60164117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 魚病 / 水産養殖 / 感染症 / ファージ療法 / 抗菌薬 / 薬剤耐性菌 / 滑走細菌症 / 水産増養殖 / ヒラメ / マダイ / バクテリオファージ / ファージ / 滑走運動 |
研究開始時の研究の概要 |
滑走細菌症は海水魚の細菌感染症で、国内外の増養殖場で問題となっている魚病の1つである。日本ではマダイやヒラメの稚魚で滑走細菌症の被害が大きいが、滑走細菌症に対する水産用ワクチンはなく、治療に用いることの出来る水産用医薬品は事実上ない。近年、耐性菌の出現や拡散の懸念から、抗菌薬の養殖魚への使用は厳しく制限され、抗菌薬に頼らない予防・治療法の確立が求められている。本研究では滑走細菌症のファージ療法の実用化を目指し、ファージライブラリーの構築、実験感染魚を用いた効果的なファージ投与法の検討、および、自然感染魚に対するファージ療法の評価を行う。
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研究成果の概要 |
滑走細菌症はTenacibaculum maritimumの感染による海水魚の細菌感染症である。本疾病は世界中の主要な養殖魚で発生し、問題となっている。日本では、治療に使用できる水産用医薬品もなく、水産用ワクチンもない。本研究は抗菌薬に頼らない新規治療法として、滑走細菌症のファージ療法の実用化を目指した。T. maritimumを溶菌するファージを用いて、実験感染魚に対するファージ投与の治療効果を評価した。マダイ稚魚およびヒラメ稚魚で、ファージの浸漬投与により、生存率は有意に改善した。本研究は滑走細菌症のファージ療法の実用化の可能性を示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年は国際的にも持続的な水産養殖が求められている。持続的な水産業には、不適切な薬剤の使用による薬剤耐性菌の出現やまん延の防止も含まれ、抗菌薬の使用は厳しく制限される。欧米では持続的な水産養殖をおこなうことは企業として当たり前となりつつある。養殖産業では抗菌薬に頼らない魚病対策の一つとしてファージ療法に注目が集まっている。滑走細菌症のファージ療法は実用化の可能性が高く、持続可能な水産養殖の実現に貢献しうるものである。 これまでに国内外で様々な魚類細菌感染症でファージ療法の治療効果を示す研究報告はあるが、実用化に至ったものはない。本研究は世界初の魚類のファージ療法の実用化に挑戦するものである。
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